東南アジア駐在員報告



2016年6月 社会・時事
駐在員 : 芦澤裕之


シンガポールの公立学校の教育旅行では、学校から旅行会社への発注方法は、入札制度となっている。入札というとオープンな印象を受けるが、入札に参加できるのは、実績を勘案して政府が指定する数社の旅行会社のみとなっている。

教育旅行の形態は、日本のような学部や学年単位のものに加えて、クラブ活動単位のものが多い。また、生徒の参加は応募制(任意)となっている。教育旅行を企画する学校は、@行先(国、地域)やテーマ、参加人数を決め、A入札を経て旅行会社を決定し、B生徒を募集する、という手順により教育旅行を実施する。行先を立案するのは、現場の教師や、クラブ活動の顧問であることが多い。クラブ活動の顧問は、複数の学校を掛け持ちしていることが多いため、例えばA学校の吹奏楽部の顧問に気に入ってもらえると、この顧問が掛け持ちするB学校、C学校の教育旅行も同じ行先になるとのことである。

こうしたことから、教育旅行を誘致するためには、担当教師やクラブ活動の顧問にアプローチするのが有効、ということになる。しかしながら、こうした層にアピールする機会は中々見つからないため、JNTO(日本政府観光局)が主催する教育旅行セミナーへの参加や、旅行会社の担当者に教育旅行向きのメニューを売り込む活動が必要になる。

今年に入って、いくつかの学校で静岡を教育旅行先とする事例が出てきている。本年4月には、ニーアンポリテクニークという高等専門学校のフィルム・メディア学科の生徒18人が、静岡県を訪問し、雑誌「静岡時代」のメンバーとの意見交換会や、駿府城公園での花見、静岡新聞・SBS見学、久能山でのいちご狩りの一日を過ごし、大変好評を得た。また、今秋には2校が静岡行の教育旅行を実施する予定であるが、両方とも旅行会社へのセールスの結果ではなく、担当教師への直接の情報提供等により、実現したものである。

教育旅行の受入れに当たっては、一般の旅行に比べて、行程作成の支援や、学校交流やホームステイなどのプログラム調整の手間がかかるため、必ずしも効率的とはいえないが、こうした若者の相互交流の促進が、将来的なシンガポールと静岡県との交流拡大に寄与するとの考えのもと、今後も誘致の取組を進めていきたい。

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