中国駐在員報告
2014年10月 経済 駐在員 : 野村芳一
雲南省から上海経由で静岡便を使う観光客が多いということで、観光関係の用件で雲南省への出張が都合3回目になった。その3度とも現地の旅行社の優良顧客で、大変なお金持ちに会ってお話しする機会に恵まれた。旅行社としては、珍しい日本からの訪問者があるということで、自分の上客に会わせておこうということか。こちらとしては、ぜひ静岡のPRをしておきたいところであった。
雲南省は中国の最西南部にあり、南部はベトナム、ラオスと、南西部はミャンマーと国境を接している。主な産業は観光と花卉生産である。国家旅游局が主催する中国国際旅游交易会が一年おきに開催され、1999年には昆明で花博が開催されている。鉱物資源に恵まれ、錫・亜鉛、鉛などの埋蔵は中国最大であり、鉄、石炭、銅、金なども豊富にある。
雲南省で出会った3名の大金持ちは、全て地下資源で資産をつくったいわゆる「成金」で、突然、使い切れないほどのお金を手に入れた人々であった。一番最近会った方は、20億元(≒340億円)の資産と5つの鉱山を持っていた。有能そうではあるが、40歳代の普通の男性である。昆明には、彼よりもっと資産を持っている人が、何人もいるらしい。ヘリコプターで日本に行きたいとのことだったので、ビジネスジェットで静岡空港を利用するよう勧めた。
黄河流域中部にある山西省も石炭の採掘で成金が多いと有名な地域である。省都の太原からは、2012年と今年、静岡空港へチャーター便が運航されている。6月にこの太原の隣の都市の呂梁市(人口350万人。最近、空港開港)にある高等中学校を訪問して、静岡への教育旅行についてPRをする機会があった。100名ほどの生徒や父兄を対象に学校の主催する説明会でお話をした。驚いたのは、一万元以上の高額な旅行であるのに、翌日、60人が参加申し込みを行ったことだ。主催旅行社には、個人的に欧米諸国に行きたいという父兄からの相談もあったという。
日本では石炭やレアアースなどの価格が下落して、中国の資源都市が勢いを失っているとの報道がある。確かにその通りかもしれないが、経済的に大きく影響を受けるのは、主にそこで働く人たちであって、既に資産を形成した人にはあまり関係がない。想像できないほどの財産を有している富裕層が、内陸部にも数多く存在するのだ。中国との経済的な交流を促進するに当たって、これらの資金をいかに日本経済の活性化につなげていくかを考えることも必要だ。
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