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ヨーロッパ駐在員報告
2001年2月 政治 駐在員 : 森貴志
アルメニア人虐殺
フランスにおいてこのほど、第1次大戦中に起きたオスマン・トルコによるアルメニア人迫害を「大量虐殺」と認定した法律が、シラク仏大統領の署名を経て公布された。これに対して、トルコはフランスとの関係見直しを表明し、両国の対立が一層先鋭化してきた。
今回仏議会が採択した法律はトルコを名指ししているわけではなく、同国に対する何らの措置も規定されていない。しかし、仏議会での法成立後、トルコ側は駐仏大使を召還し、仏企業とのスパイ衛星売買契約も破棄するなど激しく反発している。さらに、シラク大統領の法律への署名が明らかになった後、エジェビット・トルコ首相が「フランスとの政治経済関係を見直す」と述べ、対抗措置を打ち出す方針を表明した。
またトルコ側は今回新たに、軍用機の飛行システム近代化に関する仏企業との契約を撤回したとも伝えられており、こうした動きはさらに拡大するものと予想される。
フランス政府は同法について、「この法は、現在のトルコに対するものではない。フランスはこれまでどおり、トルコとのあらゆる分野での緊 密な関係を望んでいる」と表明、事態沈静化に躍起となっている。
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