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中国駐在員報告
2013年8月 社会・時事 駐在員 : 野村芳一
中国の出入国管理法(出境入境管理法)が改正され、7月1日から施行された。今回の改正の重要な点は、短期滞在の外国人不法就労者に対する取締りと罰則が厳しくなったということである。
新しい出入国管理法では、不法入国、不法滞在、不法就労についての罰則(罰金や拘留、再入国禁止)が明確化されている。
不法滞在の場合は、罰金上限が5,000元(約8万円)から1万元(約16万円)に引き上げられており、不法就労の場合は、就労した本人に対する罰則だけではなく、不法就労を仲介した者、不法就労者を「雇用」した者に対する罰則も含まれるようになった。
就労許可・就労ビザ(Zビザ)を取得していても、許可を得ず職場を変更して稼働した場合には、不法就労となる。無論、訪問ビザ(Fビザ)や観光ビザ(Lビザ)等で就労することは許されていない。
また、9月1日から施行される外国人入境出境管理条例よると、短期商用については、これまでのFビザから新設のMビザに、また、駐在員の帯同家族については、これまでのZビザ等から新設のS1又はS2ビザに変更となるなど、新しいビザの区分ができる。
ここ数年、中国では外国人の不法滞在・不法就労者が急増しており、今回の改正の背景にはそのような事情があると言われている。2000年に7.4万人であった外国人就労者は、2011年には22万人にまで増加している。2011年に警察が不法入国・不法滞在として調査した事案は、2万件に上り、1995年から倍増しているという。
その他、現地の駐在員で問題になっているのは、就労ビザを更新するための期間が長くなったことだ。これまでは、申請から更新まで5営業日、実質1週間であったのが、法施行後は15営業日、実質20日間以上に延長されたのである。当局の審査中は、パスポートは当局が預かっているため、国外に出ることはできない。またホテル等の宿泊にもパスポートの提示が必要なため、代わりに写真付きの証明書が発行されるが、それでは受け付けないところもあるという。実は、現在、当事務所職員も就労ビザの更新期間中であり、国内で重大な事件、事故などが起きないことを祈っている状況である。
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