台湾駐在員報告



2014年8月 経済
駐在員 : 宮崎悌三


台湾政府労働部(厚生労働省の一部に相当)は、7月22日、1人当りの求人数を表す求人倍率の6月の実績が、2.23倍となったと発表した。求人倍率は、昨年から緩やかに上昇しており、今年の春節明けからは、すでに2倍を超えている。
公共職業紹介機関を通じた求人内容を見ると、工場での工員や不動産仲介業、オフィス管理業務が、人手不足になっている一方、データ入力関連業務では、仕事を求めている人の数が、募集の4倍となるなど、業種によるばらつきがある。とりわけ人材不足が深刻なのは、ハイテク製造業で、大手企業の中には1,000人の募集を行っているところもあるようである。
 一方、行政の最高監督機関である監察院は、15歳から29歳の若者のうち、月収が3万元(約10万2千円)に満たない層が、6割を超える状況が4年以上続いており、この状況を改善しなければ若者が次々と海外へ流出してしまうとの懸念を示した。
 また、別の政府統計資料によると、15歳から24歳までの若者の失業率は、過去5年間12%から13%の高水準で推移しており、全体の失業率(2014年6月時点で3.92%)を大きく上回っている。
 監察院は、台湾の若者の高い失業率と低い給与水準が一層深刻となっており、このままでは、優秀な人材が海外に流れ、台湾が競争力を失ってしまうとし、2021年には台湾が世界で最も人材不足が深刻な地域となると警告している。
 さらに、このような心配を裏付ける別の調査結果もある。
就職仲介サービス会社が実施した調査によると、正社員として働いたことのない30歳以下の若者のうち、83.5%は中国での就職を考えていることが明らかとなっているほか、別の調査では、中国にある台湾系企業におけるインターンシップに参加した台湾の大学生の数も、過去7年で3倍以上に増えているそうである。
若者たちが中国での就職を希望する理由としては、福利厚生や賃金水準が台湾を上回ると考えているという回答が最も多く、次いで中国市場が発展の可能性を秘めている、仕事の経験が積めるなどが続いている。
今や優秀な若者の台湾からの流出問題は、もはや杞憂では済まされない。すでに現実のものとなりつつあるようだ。

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