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東南アジア駐在員報告

2015年8月 社会・時事
駐在員 : 芦澤裕之


(シンガポール訪日旅行市場からみる、全アジア的なFIT化の流れ)
シンガポールの人口は540万人で、タイの6,800万人、インドネシアの2億4,800万人などと比べると訪日市場規模は小さい。それにもかかわらず、シンガポール市場は観光誘客に携わる我々にとって無視できない存在となっている。理由は、@1人当たりGDPが高く、富裕層も多いため、国民に長距離の海外旅行を楽しむ余裕があること、A東南アジアの中心にあり、情報のハブになっていることから、シンガポールで流行したものは他国にも伝播すること、などである。

平成26年のシンガポールからの訪日客は前年比20.4%増の22万8千人で、過去最高値を記録した。平成27年は6月末現在で前年比32.8%増の13万人となっており、過去最高値をさらに更新することは間違いない。

成熟したシンガポール市場では、日本と同様、旅行の形態はFIT(個人手配旅行)が主流だ。旅行者はWEBサイトやSNSの口コミで情報を収集し、航空券やホテル、JRパスなどをWEBや旅行会社で手配する。旅行会社のツアーを購入する場合でも、出発日が決められた募集型ツアーよりも航空券とホテルのみのパックや、日本国内からの着地型ツアー(例:東京から伊豆への1泊ツアーなど)が好まれる。なお、こうした状況は、私がシンガポールに赴任した1年数か月前から比べても一層進んでいるし、タイやインドネシアでも同様の状況は急速に進んでいる。静岡空港への直行便が急増している中国や、台湾、韓国においても、旅行市場が成熟することによりFIT化する流れは変わらないはずだ。

(旅行者と旅行会社との関係の変化に伴い、旅行会社の役割も変化)
日本の自治体や観光協会、ホテルなどはこれまで、旅行会社を足繁く訪問して募集型ツアーを造成してもらうことに多くの予算を費やしてきた。その目的は、募集型ツアーが造成され、ポスターが貼られてパンフレットが配られることで、観光誘客につながることにあった。旅行者は旅行会社が勧めるツアーを購入すれば満足してくれたので、我々は旅行会社にPRすることにより、間接的に消費者に訴えることができたのだ。

しかしながら、前述のとおり、ITの進化に伴い旅行者は自立してしまった。彼らは旅行会社を訪問する前に旅先を決めており、旅行会社の店頭では指名買いをする。したがって、ファムトリップを行って募集型ツアーを造成したところで、旅行者がその旅先を知らなければ、ツアーが催行されることはない。

(観光誘客のためになすべきこと)
こうした状況の中、静岡への観光誘客のために何をするべきか。私は(1)FITフレンドリーな環境を整備すること、(2)旅行者への直接の情報発信を強化すること、(3)旅行会社へのセールスはMICE(報奨旅行等)や教育旅行の誘致を中心に行うこと、の3つの取組が重要であると考えている。

(1)については、観光マップの作成や観光案内所の整備、Wifi環境の整備、鉄道パスなどの周遊券の造成、着地型ツアーの造成などが挙げられる。(2)については、WEBサイトの多言語化やSNS、雑誌・フリーペーパー等による情報発信の強化、現地旅行博へのブース出展や観光セミナー、物産展の開催などが考えられる。(3)については、MICEや教育旅行は定期的かつ大規模なグループが見込まれるとともに、手配に旅行会社を使うことが必須になっていることから、旅行会社へのセールスがもっとも有効な分野であるからである。

なお、これらの取組を行う前提として、静岡県が、海外からのインバウンドに大きなポテンシャルを持っていることを関係者は再認識してほしい。富士山があり自然も豊か、海、山の食べ物が豊富で上質な温泉に恵まれているという自然条件に加えて、東京と大阪の間のゴールデンルート上にあるという地理的条件、空港、新幹線や高速道路網が整い、多くの旅館、ホテルを持つというインフラ条件の3拍子が揃っている静岡県は、他県から心底うらやまれている。

(シンガポールにおける取組)
上に掲げた取組の一部は、シンガポールで既に進められている。県では、今年度、シンガポール旅行博へのブース出展(7月,3月)、教育旅行セミナー出展(7月)、静岡観光セミナー開催(8月)、フリーペーパーへの記事掲載(6月:OISHIマガジン,7月:GO JAPANマガジン)を実施または実施予定である。これに、民間企業(キシヤマ・ホールディングス)による静岡フードフェアの開催(6月)や、静岡市のインセンティブセミナー出展(7月)などが加わっている。シンガポールの旅行者に、次の訪日旅行では静岡を「指名買い」させるための官民一体となった取組は、必ず実を結ぶと確信している。


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