東南アジア駐在員報告
2016年6月 社会・時事
駐在員 : 吉住理恵子
5月22日(日)、パヤレバ空軍基地の一般公開を見学した。
シンガポールの政府支出の割合は、国防費が最も多く、2016年度は約23.5%を占める。陸海空の三軍で構成される軍隊は、小規模ながらも近代的な装備を所有し、今回も、ブラックナイツ(Black Knights)と呼ばれるF-16アクロバットチームの機体をはじめ、C-130ハーキュリーズ(輸送機)、AH-64アパッチ・ロングボウ(戦闘ヘリ)、KC-135ストラトタンカー(空中給油・輸送機)など多数の軍用機が空軍敷地内に展示された。一部の戦闘機の操縦席に座って写真を撮ることもできるサービスもあったほか、シンガポール国民を対象とした、実際の輸送機の体験飛行も行われるなど多くの参加型プログラムがある。家族連れで賑わう様子は、日本の自衛隊の航空祭と同様だが、間近で見ることのできる展示物は格段に多い。
ハイライトは、F-15イーグル戦闘爆撃機によるスクランブル発進のデモンストレーション飛行。領空内に未確認の小型飛行機が進入したという設定で4機のイーグルが緊急発進し、パヤレバ空軍基地に誘導着陸させるというストーリー仕立てで、会場内に設置された大スクリーンと、実際の戦闘機の離陸・着陸までをうまく組み合わせ、迫力あるデモンストレーションが繰り広げられた。
室内展示のコーナーには、シミュレーション機材の展示とともに、コンサルティングコーナーが設けられ、高校生くらいの男子と空軍ユニフォーム姿の男性が熱心に話しをしている様子も見かけた。
シンガポール軍は戦争抑止を基本としており、近年ではヘイズ(煙害)の原因となったインドネシアの森林火災の鎮火活動に出動したり、行方不明になったマレーシア航空MH370便の探索でも活躍をした。シンガポール軍のフェイスブックでは、こうした活動について、随時、効果的に発信している。毎年8月9日の建国記念日には、陸海空軍による盛大なデモンストレーションが披露され、国防意識の掲揚にも一役買っている。
軍事力を必要とすることのない平和な世界であるに越したことはないのは当然だが、高額な政府支出について、国民の目に触れる機会を提供する姿勢と、説得力ある説明に学ぶ点も多いと改めて感じた。
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