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東南アジア駐在員報告
2001年2月 政治 駐在員 : 岩城徹雄
フィリピン、タイの新政権、不安の船出
1月20日に誕生したフィリピンのアロヨ大統領の新政権は、閣僚が早くも辞任したり、一部の閣僚がいまだ決まっていないなど、不安のスタートとなっている。
エストラーダ前大統領の辞任は、ピープルズ・パワーもさることながら、国軍と警察の前大統領からの離反が大きかったとされている。この政権交代で重要な役割を果たしたメルカド国防相が、安全保障問題担当の大統領顧問に不正疑惑のある人物が任命されたのを批判し、辞任した。アロヨ大統領はこの大統領顧問の任命を撤回したが、新政権は出だしからつまづいた形になった。他に任命された閣僚もアキノ政権、ラモス政権時代の閣僚経験者などが多く、経済界からは不満の声も出ている。また、保健相、環境天然資源相のポストが依然空席のままである(2月5日現在)。
一方、やり直し選挙が行われ議席が確定したタイ下院は、これまで野党だった愛国党が定数500議席のうち単独過半数よりわずかに少ない248議席を獲得し、国民党41議席と新希望党36議席を加え325議席の連立与党を形成することとなった。2月9日に愛国党のタクシン党首を首相に指名、14日に内閣発足の予定である。
3党合計の議席は内閣不信任を否決できる数で一応安定する形であるが、タクシン氏自身の公職追放の可能性のほか、国民党、新希望党の入閣候補には汚職疑惑など評判の芳しくない人物が上がっており、組閣も難航するものと見られている。
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