台湾駐在員報告
2018年4月 行政 駐在員 : 宮崎 悌三
台湾政府は2025年に向けて「脱原発」を目指している。目標とする発電エネルギー割合は、天然ガス5割、石炭3割、再生可能エネルギー2割とする、いわゆる「532計画」を掲げている。
2017年の電源構成(発電のためのエネルギー源)は、多い順から、石炭39.2%、天然ガス38.6%、原子力9.3%、再生可能エネルギー4.9%と目標値とはまだかなりの差がある。面積と資源に乏しい台湾にとって、この差を埋めるには、様々な要素が絡んでおり、解決の難しい問題である。
一つめは、環境問題である。石炭などを燃料とする火力発電の割合が増えることによって、発電所からの排出物質による大気汚染の深刻化が、社会問題化している。
二つめは、電気代高騰である。化石燃料を輸入に頼っている台湾にとって、国際市場における燃料価格高騰の影響をもろに受ける。燃料価格高騰で、公営電力会社の台湾電力は、2018年1月から2月の損益が47億台湾元(約171億円)に達し赤字が拡大。政府は、アジアで最も安い水準と言われている電気代を、4月から消費電力量が大きい顧客を対象に約3%値上げすることを発表したが、電気代高騰が物価上昇につながり、なかなか上昇しない給与に喘ぐ市民をさらに苦しめることが懸念される。
三つめは、電力確保である。脱原発を掲げているものの、現在稼働している原発のメンテナンスによる休止に加え、原因不明のまま稼働を停止する事態が重なり、電力需要が高まる夏に向け、電力が逼迫する事態が予想されているため、頼れる発電施設が限られる中で待ったなしの事態となっている。
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