台湾駐在員報告
2015年12月 経済
駐在員 : 宮崎悌三
1年のほとんど(年間300日以上)を台湾で過ごしている私の給与や手当は日本の口座に支給いただいているが、悩みが二つある。
一つ目は、ここ3年近く続いている“円安”である。いただくものは全て円建てであるために、瞬く間に金額は目減りしていく。台湾事務所開設当時(2013年4月)と2015年11月末現在を比較すると15%ほど、円が台湾元に対して安くなってしまっている。
二つ目は、税金の二重課税である。台湾に年間91日(約3か月)以上滞在した場合、滞在日数や収入に応じて課税されるが、その際、日本で得た所得も課税対象となる。台湾での収入が全くない私も、日本で得た収入に対して、日本と台湾の両方から課税されることとなり、さらに双方における控除の制度も一般的ではなく、このことについて苦しんできた。日本からの投資を呼び込みたいと台湾当局は口にしているが、台湾の確定申告の時期(毎年5月)になると、当局は本気なのかと、懐疑的な気持ちを抱くことさえある。
そんな苦しみを解き放ってくれる朗報が飛び込んで来た。日本と台湾は、日台間の諸問題を協議するため、それぞれが窓口機関を設置しているが、日本側の対台湾窓口機関の交流協会と台湾の対日本窓口機関の亜東関係協会は、11月末、東京都内で日台間の二重課税などを防ぐための「日台民間租税取決」、いわゆる租税協定を締結した。これにより、これまでの条件が緩和され、台湾での滞在期間が183日(約半年)未満なら日本でのみ課税されることとなる。これは日本が租税条約を結んでいる先進国と同様のレベルである。台湾にとっては30か国・地域目の締結とのことである。
また、現地子会社から配当などを送金する際に金額の20%が源泉徴収されているが、この協定により今後は税率が10%になるなど、日台間の経済交流や投資促進を目指した内容となっている。
しかし、日台国内の手続きを踏む関係で、協定の発効は早くとも再来年(2017年)という。台湾で過ごす多くの日本人や企業の辛抱は、もうしばらく続きそうである。
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