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東南アジア駐在員報告2004年9月 政治 シンガポール 第3代首相にリー・シェンロン氏が就任
1965年のマレーシアからの独立以来、建国の父と称されるリー・クアンユー氏(新首相シェンロン氏の父)が初代首相として31年間(1959年からのシンガポール自治州の初代首相を含む。)、ゴー・チョクトン前首相が第2代として14年間務めた後を受けて、シンガポール共和国の第3代首相に就任した。 今年52歳の新首相の経歴は、1974年に数学専攻でケンブリッジ大学を卒業した後、1980年にハーバード大学の公共政策大学院である「ケネディースクール」で修士号を取得した。シンガポール国軍では参謀長を経験し、准将に昇進した1984年に退役し、政界入りをしている。 多民族国家の首相として、英語、中国語はもちろん、マレー語とロシア語にも堪能なリー新首相に対する形容は、マスコミ、国民含め一様に“秀才の一言”である。 また、新首相に対するシンガポール国民の評判は、地元紙ストレーツ・タイムズが15歳以上の国民402人を対象に行った電話による聞き取り調査によれば、83%がリー・シェンロン新首相を適任だと回答した一方で、リー・クアンユー上級相の息子であることが就任理由のひとつであると答えた人も約47%いた。新首相に解決を望む優先課題は、@職の確保、A生活費の低減、B安全と治安の維持となっている。 著名人の新首相評として、ジュリアーニ・米国ニューヨーク前市長がリー・シェンロン新首相に対する感想を求められたのに対し、「何をどうすべきかを心得ていると思う。そうした生い立ちにある。公職のキャリアも長い」と賛辞を呈し、併せて、 シンガポールについて、「人口密度が高いにもかかわらず、美しく清潔だ。統治の優秀さを示すもの」と評価したと、シンガポールで報じられている。 8月22日に行われた「ナショナル・デー・ラリー(独立記念日祝賀集会)」で3時間半を超えて、国民に熱く語ったリー首相は、「開かれた社会は多くの異なる意見を受け入れる」とし、言論の自由を促進する意向を示したほか、経済生き残りと競争力強化については、「シンガポールに拠点を置く地場、外資系の両企業は、アジア地域の力強い成長の恩恵を受けている」と述べ、今後の域内成長見通しも明るいことから、向こう15年間で製造業の生産量が現在から倍増すると予測した。また「シンガポールの労働力、政策、清廉な政府をもってすれば、域内競争力を保持できる。中国、インドの企業もシンガポールに多く進出している」と自信も示した。 僅か45年足らずで、アセアン屈指の経済力と治安の良さを築いたシンガポールの新しい時代の幕が開いた。 なお、「リー・シェンロン新首相の略歴」及び「リー新内閣の閣僚名簿」は、静岡県東南アジア駐在員事務所ホームページを参照願います。 http://www.shizuokasingapore.com/ |
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