東南アジア駐在員報告
2022年9月 社会・時事 駐在員 : 竹田 敏彦
8月下旬にテレビ中継されたリー・シェンロン首相の施策方針演説を視聴した。今回のスピーチで強調された同国の課題と将来の見通しについて紹介する。
課題として挙げられたのは、第一に米中関係の悪化、台湾有事の可能性、ウクライナ紛争等の外的な問題の影響、二番目に外的影響によるインフレを中心とする経済状況の変化だ。最初の課題への対応策としては、他国・地域と連携し世界秩序を維持すること、またシンガポール国軍の強化が述べられた。経済対策としては、国内の生産性・競争力を向上させ、賃上げを目指すことでインフレに対応するとのことだった。
1時間強の演説では、上記に加え、チャンギ空港新ターミナルの建設や海外の優秀な人材の確保、また同性愛や婚姻の定義についての政府の考えを丁寧に説明していた。
演説の内容以上に興味深かったのは、リー首相が始めにマレー語と中国語で演説のポイントを紹介した後、英語で詳細な内容をしたことだ。多様な人種により構成されるシンガポールのリーダーには、様々な背景を持つ国民とのコミュニケーションのために多言語を操る能力も必須ということだろう。
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