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ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 東南アジア駐在員報告

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東南アジア駐在員報告

2014年8月 社会・時事
駐在員 : 吉住理恵子


当事務所から100mほど離れたホンリンパークにスピーカーズコーナーがある。意外にもシンガポールは言論規制が厳しく、デモや集会は原則禁止となっており、スピーカーズコーナーはシンガポール内で、事前に許可を得れば市民が抗議集会などを開くことができる唯一の公共の場である。
このスピーカーズコーナーで、去る7月12日にシンガポールの年金制度CPF(Central Provident Fund=中央積立基金)に抗議する集会が開催された。
CPFは、自分の身は自分で守るという自立の考えに基づき、次世代に負担をかけずに自分のために将来に備えて貯蓄する強制積立制度である。加入者は、毎月の給料から一定額を積み立てることが義務づけられ、雇用者も、加入者のために一定割合を負担する。積立金は、加入者の医療費、住宅購入費、老後の生活資金とすることができるが、本人以外の者が使用することはできない。日本の年金制度と同じような制度である。
抗議集会で演説をしたロイ・ガーング氏は、自分自身のブログで、政府のCPF資金運用が不透明であり、リー・シェンロン首相がCPF資金を流用したと批判し、リー首相から名誉毀損で訴えられている。彼のブログには300万回を超えるアクセスがあったと言われ、勤務先の病院が規律違反を理由に彼を解雇した後には、インターネットを通じて多額の支援金が寄せられたといわれている。
今回の集会は、6月に行われた2000人規模の集会と比べ、やや小規模ではあったようだが、フェイスブック等での呼びかけに数百人が集まった。
一方、政府は、シンガポールの新聞ザ・ストレイツ・タイムズを使い、この抗議集会が実施される3日前(7月9日)の紙面で、一面を含む全3ページを割いて、CPFが持続可能で公正なシステムであることや、運用や国民への利子還元の仕組を事細かに説明し、正当性を主張した。(ちなみに、ザ・ストレイツ・タイムズは、政府系企業である シンガポール・プレス・ホールディングが発行している。)
これまでシンガポールは、リー・クアンユー元首相の絶対的な指導力の下で、時には国民に抑圧を強いて、政策を効率的に素早く実行することで、経済成長を実現し、短期間にアジアNo1の座に登りつめた。
今回のCPFをめぐる一連の動きは、こうしたこれまでの手法に対する疑念が、インターネットというツールによって顕在化し噴出しているという点で「アラブの春」と本質を同じくする、新たな潮流だといえる。


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