韓国駐在員報告
2008年7月 経済
駐在員 : 掛澤孝寿
原油高と航空各社の対応
ジェット燃料費が全事業費の3〜4割を占める航空業界にとって、原油高による負担は、他の業界よりも深刻である。更に、韓国内の航空業界は、ウォン安の影響も受け、収益環境は悪化している。
こうした中、各航空各社は、航空燃料の急激な高騰による負担を軽減するため、運休・減便などの自衛策に取り組んでいる。
アシアナ航空は6月から赤字路線となっている清州〜済州路線の貨物運送を中断することを決めたほか、新型肺炎SARSにより利用客が激減した2003年以来5年ぶりに全社員を対象として、15日〜3カ月の無給での休職希望者を募ることとしている。
更に、アシアナ航空では、機内誌を軽量化するほか、飲み物やトイレの備品を必要最低限にとどめることとしている。同社の関係者によれば機内の物品を100キロ抑えると年間7億ウォン(約7,000万円)を節減できるとのことである。
大韓航空も6月〜7月中旬まで、搭乗率が低い国際線路線を中心に運休・減便している。仁川〜中国・海南省三亜などの5路線を運休にしたほか、仁川発着の大分、福岡、青森路線をはじめとして国際線14路線を減便している。また、仁川発着のフィリピン・マニラ、北京など4路線は燃料消費が少ない小型機に変更している。
また、航空料金を大手航空会社の平均70%程度に設定している済州航空も収益の悪化を受けて7月1日から大手航空会社の80%程度に引き上げることとしている。
原油高により航空会社への負担が増える中、各社は政府に国際線の燃料サーチャージの引き上げと国内線への燃料サーチャージ導入を建議していたが、国土海洋部は6月13日、国際線の燃料サーチャージの引き上げを認めると発表し、旅客は7月1日から、貨物は7月16日から引き上げられることとなった。これにより3〜5%程度の値上げになる見通しとなっている。
韓国人の海外旅行は8月がピークで例年9月から搭乗率は急落する。このため、原油価格の上昇が続く場合には、9月以降、各社は全面的な路線再編を行うもの予想されている。
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