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東南アジア駐在員報告
2000年8月 行政 駐在員 : 岩城徹雄
シンガポール、公務員給与大幅増で論争
シンガポール政府は公務員給与の見直しを7月から実施し、7万人の公務員の年収が平均で13%アップすることなった。これは、最近急速に増えている公務員から民間企業への転職を食い止め、優秀な人材を確保するためのもの。月給が平均5.4%アップになるほか、個人の業績に応じて支給される業績達成賞与が全公務員に支給されることとなった。
閣僚らの給与が民間サラリーマンの数十倍となるなど大幅なアップに対し、国民からは反対の声が多く上がっているが、リー・シェンロン副首相は、民間にいれば大きな成功を収めうる優秀な人材に、閣僚となり国を指導する立場に着くことに対して犠牲を強いるのはいいことではない、と政府の立場を説明した。
また、リー副首相は「21世紀公共サービス計画」5周年の討論会に出席し、公共部門のサービス向上のため、積極的にアイデアを出すこと、問題に迅速に対応する体制を作ること、民間企業の手法などを取り入れ、自己改革に努めることなどを公務員に呼びかけた。
「公共サービス計画」の開始から5年たち、公務員からのサービス向上に関する提案は1人当たり4.7件にまで増えてきており、提案の60%が実行に移されているという。政府では公共部門に限らず、民間企業や一般市民からも革新的な提案を募るため、1,000万シンガポールドル(約6億円強)の予算措置による「チャレンジ精神賞」を設け、優れた提案を奨励している。
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