台湾駐在員報告
2016年5月 経済 駐在員 : 宮崎悌三
航空会社が飛びたい場所に自由に飛べる日台間の“航空自由化(オープンスカイ)”の合意(2011年秋)から4年半を経た今、格安航空会社(以下、LCCという。)が勢いを増している。
台湾と周辺国・地域を結ぶLCCは、20社(2016年4月現在)。うち、日台間の路線に就航している航空会社は7社(ピーチアビエーション、バニラエア、ジェットスタージャパン、ジェットスターアジア、スクート、Vエア、タイガーエア台湾)で、日本の就航先は、東京(羽田・成田)、茨城、名古屋、関西、福岡、那覇など全国に広がり、今後は、新千歳、函館、仙台との新たな路線の開設が予定されている。台湾の就航先は、台北、高雄であるが、価格の安さ等を求める利用客が年々増えており、オープンスカイ直後(2012年)の利用者数125万人は、473万人(2015年)と推移し、台湾の航空便利用者数全体に占める割合でみると、2012年の0.3%から2015年の12.4%となり、LCC利用者数が確実に増えていることが分かる。
台湾からの訪日者数はここ数年、増加の傾向が続いており、2015年(暦年)の訪日者数は約380万人に達し、毎年記録を塗り変えている。増加の原因として、日本の観光庁は、LCC路線・便数の大幅な増加、円安、クルーズ利用(沖縄、九州等)による訪日客の増加を挙げている。
ちなみに、LCCの利用客の中心は、航空券や宿泊先などの旅の手配を自分で行う個人旅行者(以下、FITという。)であり、今や台湾からの訪日者数の6割程度を占めている。FITの人たちは、上で記した就航地とその周辺を訪れているのだが、交通至便な地域を、お得な周遊切符などを購入し、公共交通機関を利用して旅をする形態が一般化している。
台湾との直行便を利用して静岡県を訪れる訪日者の殆どは、団体旅行をする人たちである。台湾からの訪日者数の約4割を占める団体客も大切なお客様であるが、一方でFITの人たちに如何に静岡県に来てもらうかが、これからの観光誘客に不可欠である。台湾の観光市場においては、安いだけの団体旅行は廃れ、付加価値のある質の良い団体旅行と低廉なFITに二極化すると言われているが、遅れを取ることなく対策を打っていきたい。
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