中国駐在員報告
2017年2月 行政 駐在員 : 土屋岳久
2016年9月27日に国家外国専家局より発布された、外国人就労許可制度の変更に関する「外国人来華工作許可制度試点実施法案」が、日本人中国駐在員の間で大きな話題となっている。
これまで、日本人が中国で就労の許可を受けるためには、日系企業の中国現地法人等に赴任する場合と、中国の政府機関や教育機関等で外国人専門家として働く場合とで、2つの異なる方法があった。前者は人力資源・社会保障部門が所管しており、「外国人就業許可証書」を取得した後、Zビザ(就労ビザ)で入国し「外国人就業証」を取得して就労する。後者は国家外国専家局が所管しており、「外国専門家来華工作許可証」を取得した後、Rビザ(中国が必要とする外国人高度人材、専門分野人材ビザ)で入国し「外国人専門家証」を取得して就労する。
今回の法案により、異なる部門が所管していた上記2種類の許可制度が統一され、国家外国専家局が全ての外国人就労許可制度を所管することとなったため、一見すると所管部門の一本化により就業許可を受ける際の利便性が増すように思える。しかし、同法案の中で外国人労働者はA類、B類、C類の3区分に分類され、C類の外国人は今後、就労が制限される可能性があるとされたことから、我々駐在員の興味をひくところとなった。
A類は「外国高度人材」とされ、ノーベル賞等の国際的な賞の受賞者や世界500強企業の高級管理職等が対象となる。B類は「外国専門人材」とされ、外国企業の駐在員事務所の首席代表や世界上位100大学の修士以上の学位取得者等が対象で、C類は「外国一般人材」とされA類B類以外の者が対象となる。これらの条件以外にも、収入や年齢、中国語レベル等による点数化での区分条件もあり、C類に分類されるであろう中国駐在員の就労への影響が懸念される。
本法案は2017年4月より全国実施されることとなるが、実施後の影響がどのように出てくるかは不透明な部分が多いため、継続して情報収集に努める。
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