中国駐在員報告
2018年9月 行政 駐在員 : 土屋 岳久
北京や上海など中国の大都市では、交通渋滞が深刻な問題となっており、各行政府はナンバープレートの発給制限や、市街地における区域外のナンバー車の通行制限などにより渋滞緩和を試みているが、根本的な解決には至っていない。
渋滞が起こる原因として自動車の絶対数が多いということもあるかと思うが、私が日本との違いを強く感じるのは、事故後の対応である。
例えば、幹線道路で自動車同士の衝突事故があった場合、日本ではお互いに自走可能な状態であれば、まずは事故車両を道路の端に寄せ、交通の妨げにならないようにするだろう。対して中国では、交通警察が到着して双方の過失割合を決めるまで事故車両を動かさずに現状維持するため、後続車両が通行できず渋滞を引き起こしている状態をこれまでに何度も目撃した。
中国の友人にこの話をしたところ、「過失割合が決まらない状態で車両を動かしてしまうと、正しい判定がされない可能性があるため、現状維持はやむを得ない」との答えが返ってきた。
実は中国の道路交通安全法でも、「道路上で発生した交通事故で、財産損失が軽微であり、基本事実が明確である場合、まず現場を離れてから協議を行うこと」とされている。また、道路交通事故処理手順規定では、「損害が軽微で責任所在が明確な場合にもかかわらず現場を離れず渋滞を引き起こした場合は200元(約3,400円)の罰金となる」旨も明記されている。
にもかかわらず、一見して軽微な事故であっても、車両を動かさずに渋滞を引き起こしている状況を見るに、「責任所在が明確な場合」という判断をするのが、中国では日本以上に難しいのだろうということを感じる。
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