台湾駐在員報告
2015年5月 社会・時事 駐在員 : 宮崎悌三
台湾事務所の開設より前、静岡県の観光に携わる方から、台湾の書店では、静岡県の観光情報を紹介するガイドブックがないと言われることが多かった。確かに、どの書店を覗いても“静岡”という文字が見当たらない。台湾から静岡県へ一人でも多くの観光客を呼び込みたいとの熱い思いで台湾に来られている方なら、なぜガイドブックがないのか、県はもっとしっかりすべきだと言いたくなる気持ちは良く分かる。
本を販売する側の論理としては、売れる内容であれば、出版したいと言うだろう。静岡県に何度も足を運んだことのある台湾のあるブロガーが、静岡県の観光を扱った本を販売したいと台湾の出版社に掛け合ったが、出版社の多くに断られたが、東京や鎌倉を盛り込むという条件で、ようやく台北市内のある出版社から本を出版することが決まった。このことからも、静岡県に関する本の出版は、静岡県で本が売れるかどうかがシビアに判断されることとイコールであることがお分かりいただけると思う。
台湾から日本に旅行に行かれる方の多くは、何度も訪れるリピーターである。台湾の書店に並ぶ日本関連のガイドブックは、東京、北海道、大阪、京都、北海道、沖縄などがその殆どを占めているが、テーマや季節を変えて何度も訪れる地域のため、ニーズが高いことを物語っている。
では、そのようなリピーターが、静岡県をどのように認識しているのだろうか。平成26年度に、台湾における静岡県の認知度などを調査するアンケート調査を行った。日本へ行ったことがある方400人を対象とした調査では、65%の人が最近一年間に日本へ再び訪れており、訪問先はガイドブックが出版されている地域(前出)であった。その中で静岡県は、訪問先の上から7番目であったが、実際に静岡県を訪問したことのある人の割合は、18.6%に留まった。一方、静岡県を知っている人の割合は、94.0%で認知度は非常に高い数字を示した。また、訪問する際、参考とする情報源は、旅行会社、ガイドブック、ブログがトップ3であった。
このことから、認知度の高さを背景に、情報提供を確実に行うことで、リピーターを増やす一助になると考えることができる。
そうした矢先、台湾大手の出版会社への働きかけにより、静岡県の観光情報を紹介するガイドブックが4月に出版された。出版社からも、静岡県を扱うことが事業として成り立つとの判断をしてくださったと受け止め、一人でも多くの方にガイドブックを手に取っていただきたいと考えている。
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