台湾駐在員報告
2015年11月 経済
駐在員 : 内藤晴仁
台湾で高齢者を敬い慈しむ日である重陽節(旧暦の9月9日。2015年は10月21日)を迎え、高齢者の長寿をお祝いする様々なイベントが各地で開催された。馬英九総統は107歳を迎える高齢者の自宅を訪問し、御酒と果物、記念品等を持参してお祝いの言葉を伝えたほか、台北市等各地方政府も高齢者に対しお祝い金を支給、高齢者の長寿を祝福した。
台湾は近年、社会の高齢化が急速に進んでいる。台湾行政院の統計によると、2014年の台湾の65歳以上の人口は約281万人であった。1989年の台湾の65歳以上の人口は約120万人であったことから、この25年間で台湾の65歳以上の人口は約161万人も増加、65歳以上の人口割合も約6%から12%に増加し、「高齢社会(65歳以上の人口割合が14%以上)」に突入するのも時間の問題と言われている。
高齢化の主な原因として、第二次世界大戦終了後の台湾のベビーブーム世代がちょうど高齢化を迎えたことが挙げられる。1950年の台湾の人口は約800万人であったが、その後台湾はベビーブームにより人口が急増、その後もなだらかに人口は増え続け、現在の人口は約2,300万人、2025年に人口のピーク(約2,450万人)を迎えると言われている。
また、台湾行政院は、高齢化が今のペースで進めば、2018年に高齢社会を迎え、2025年に「超高齢社会(65歳以上の人口割合が20%以上)」を迎えると推測している。
この推測に基づけば、高齢社会から超高齢社会への移行に要する時間は約7年間であり、そのスピードは日本と比べても極めて速い(日本が要した時間は約12年間)。
超高齢社会への急激な移行は、人口・社会構造の大幅な変化を招くため、台湾当局にとっても高齢化対策は喫緊の課題となっている。
中でも、50歳以上の人口割合が多い台湾西部の離島にある金門県政府では、シニア世代を対象にした高齢者向け住宅、医療介護施設、福祉用具専門店等を整備する都市開発計画を進めている。これは、高齢者が安心して生活できる環境を整えるとともに、土地の有効活用、地元の雇用創出に資するものとして大きな期待が寄せられている。
日本は台湾よりも一足先に超高齢社会を迎え、静岡県でも民間と連携した長寿福祉対策等を積極的に行っている。今後台湾が迎えるであろう超高齢社会を前に、静岡県の長寿福祉に関するノウハウがビジネスとして活用できないか、今から可能性を探索していこうと思う。
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