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台湾駐在員報告
2013年12月 政治 駐在員 : 宮崎悌三
台湾の外交部(外務省に相当)は、11月18日、西アフリカにあるガンビアと同日付けで断交すると発表した。
同国から同月15日の断交通告を受けた台湾は、直ちに特使を派遣してジャメ大統領からの説明を求めていたが、ガンビア側は、国家の戦略的利益から台湾との断交を決定したとして、大統領との会見が受入れられることはなかった。
台湾と“国交”がある国は、世界に22か国あって、中国との国交は結んでいない。これらの国々は、オセアニアの島々6か国、アフリカ3か国、カリブ海に浮かぶ島々を中心としたラテンアメリカ12か国、そしてヨーロッパのバチカン市国である。
台湾の馬総統は、就任した2009年以降、国際社会での活動領域を拡げることを目指す「活路外交」を展開し、“国交”のある国々への教育、農業、医療、軍事などの支援を通じて、それぞれの国の経済の活性化、人々の生活水準の向上などに取組んできた。
今年になってからの馬総統は、3月のバチカン市国への初訪問に続き、8月には、南米パラグアイのオラシオ・カルテス大統領の就任式に出席するため、アメリカのニューヨークを経由して、パラグアイを訪問したほか、ハイチやカリブ海の諸国を歴訪している。
現在は野党となっている民主進歩党の前政権当時、中国との国交樹立を急いで、台湾と断交する国が多かったが、前政権と打って変わって中国との融和路線を走る馬総統になってから初となる今回の断交は、馬総統にとって大きな打撃となると見られている。
ガンビアが中国と国交を即座に結ぶかどうかは不明であるが、台湾の外交部は、ガンビアからの断交通告を、極めて遺憾としつつ、国際社会での「活路外交」を進める立場は変わらないと強調している。
一方、中国の外務省は、11月15日、今回の断交について、一つの中国の原則は国際社会における普遍的な共通認識となっており、中台統一は大局が赴くところであるとして、ガンビアの断交表明に歓迎の意を表すと同時に、中国は事前にガンビア側に働きかけてはいないとしている。
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