韓国駐在員報告
2023年6月 行政 駐在員 : 高橋 誠
5月4日から6月3日まで、韓国最南部の慶尚南道河東(ハドン)郡にて、2023河東ワールド・ティー・エキスポが開催された。当所では、お茶振興課(世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会事務局)と協力し、期間中の5月18日から24日まで、東アジア文化都市・静岡県の茶文化や茶草場農法、観光地としての魅力を周知するため、静岡県ブースを設置・運営し、PRを行った。
県内の茶草場農法にて作られた複数のお茶屋さんのお茶を主に冷茶で試飲できるようにして提供するとともに、県内の観光パンフレット等を提供した。お茶振興課は緑茶(深蒸し茶、煎茶)、紅茶を用意し、掛川市内から参加された「ゆとみソリューションズ」からほうじ茶を提供し、様々なお客様に飲んでいただいたが、特に人気があったのが紅茶であった。その次がほうじ茶。ほうじ茶が人気であろうことは何となく想像がついていたが、静岡産の紅茶の旨みに気づいてもらえるのは、何とも言えない嬉しさがある。緑茶も皆さん美味しく飲んでいただいたが、人によっては、顔をしかめる人もいた。理由は苦さであろう。韓国の緑茶は、多くが日本の緑茶より薄味であるためである。しかし、私はもっとそういった反応があると思ったのだが、意外にも「苦さは全然気にならない。美味しい」というお客様が多かった。日本食に慣れている人が増えてきたからかもしれない。
河東郡は、韓国の二大茶産地の一つである(もう一つは全羅南道宝城(ポソン)郡)。そして、統一新羅時代の828年、唐から帰国した使臣・大廉(テリョム)が茶の種子を持ち帰り、初めて韓国で茶が栽培された場所でもある。茶畑は花開(ファゲ)というエリアの主に平地ではなく山に作られている。このため、茶農家の数や栽培面積も減少傾向にある。一方、2017年に河東の伝統茶農業は世界農業遺産に登録された。茶に関連する登録は韓国では初、世界でも現在まで5つしかない。そのうちの一つが、静岡県の茶草場農法であるのだから、縁がある。
驚いたのは、来場客数だ。結構不便な場所(ソウルから市外バスで4時間)なだけに、平日はそれほど来場客がないのだろうと予想していたが、見事に裏切られた。平日は高齢者施設、障害者施設、学校や保育施設など、団体バスで周辺地域から続々と押し寄せるのだ。土日には日本でも活動したキム・ヨンジャ氏のコンサートなど集客イベントが併催され、平日以上の来場者であったし、茶関連の学会も併催され、さすが初の政府公認の茶エキスポというだけの賑わいを見せていた。イベント集客方法含め、韓国には学べるものが色々ある。
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