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中国駐在員報告
2000年4月 社会・時事 駐在員 : 今村理一郎
高所得層が富の42%を所有、都市部でも広がる収入格差
中国都市部住民の収入総額の42.4%は、所得分類で上位20%に当たる高所得層の収入で占められていることが、国家統計局が昨年第3四半期に行った調査で分かった。高所得層と低所得層の1人当たり月収の差は8倍となっている。政府は、昨年9月から低所得層の収入向上策を実施しているが、改革・開放で広がった格差を縮めるには相当時間がかかりそうだ。
同調査は昨年第3四半期に全国の都市住民15万世帯を対象に行われた。これによると、昨年8月時点の1人当たり月収は、442.64元で、1990年同月の108元から4倍に増え、物価変動を考慮した実質増でも1.9倍止なっている。しかし、各世帯をその所得に応じて20%ずつ5クラスに分け、各クラスの収入全体が都市部住民の収入全体に占める比率を比較すると、富の偏在が浮き彫りになる。同比率は、1人当たり平均月収が124元の低所得層では、6.5%である。これに対し、992元の高所得層では42.4%に達する。低所得層を下位10%に絞ると、同比率は2.2%を占めるにすぎず、格差はさらに広がる。また、昨年8月時点で収入・支出ともに100元に満たない世帯の比率は6%を占め、うち黒竜江、山西、内モンゴル、青海、新疆など内陸部では10%を超えていた。中国政府は昨年9月から、レイオフ従業員の基本生活費、失業保険、最低生活手当の基準を30%アップするなど、低所得層の収入を引き上げる5つの措置を講じているが、所得格差を抜本的に改善するには、なお一層の時間がかかりそうだ。
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