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東南アジア駐在員報告2002年9月 経済 ASEAN各国、第2四半期はおおむね好調
<シンガポール> 通産省は今年第2四半期のGDP成長率を+3.9%、年間見通しを+3〜4%へ上方修正(これまでは2〜4%)すると発表した。5期ぶりに対前年比でプラスとなったが、当期の好調の要因は製造業の+14.3%で、これに引かれる形で運輸が+6.0%、卸売りが+3.8%となっている。製造業の中では化学関連が+86.6%と大きく伸び、前期−12.9%だったエレクトロニクス関連は+1.8%とプラスに転じた。建設業は−10.2%、小売業は−6.1%、金融サービス関連は−7.3%と振るわなかった。 <マレーシア> 中央銀行バンクネガラは第2四半期の成長率を+3.8%(速報値)と発表した。内需拡大と輸出の回復が主な要因とされ、通年の予想もこれまでの+3.5%を上方修正する見通しである。第2四半期では製造業が+5.6%の伸びを示したが、建設業ほかで不法就労者対策による労働力不足の影響が今後どう出てくるかが懸念される。 <タイ> 財務省の発表では第2四半期の成長率は+3.6%、年間見通しは+4.0〜4.2%へ上方修正(これまでは+3.6%)となった。低金利で自動車、住宅販売など内需拡大が期待できるという。米国景気の先行き不透明により輸出の伸びが読めないのが不安材料である。 <インドネシア> 中央統計局の発表では第2四半期の成長率は+3.51%である。製造業は+2.54%、運輸・通信が+8.19%、電力・ガス・水道が+4.71%となっている。8月上旬に筆者がジャカルタを訪問した折、日系企業が開発した工業団地の営業担当者に話を伺ったが、日本の大手自動車メーカーがインドネシア国内向けに新モデル投入を計画するなど4輪にも設備拡張の動きが見られ、在インドネシアの日系部品メーカーも受注増を期待しているという。これまで好調だった2輪や家電に加え4輪にも内需拡大の動きが広がれば、しっかりとした成長につながるのではないかと思われるが、海外からの新規投資案件は相変わらず低調との話もあり、楽観はできない。 <フィリピン> 統計調整局の発表では第2四半期の成長率は+4.5%となり、政府は年間見通しの+4.0〜4.5%達成を楽観視している。同期の成長率を産業別に見ると農林水産業が+3.1%、製造業+3.7%、鉱業+14.5%、運輸・通信+9.8%、商業5.9%であった。支出別に見た場合、個人消費が+3.6%と堅調であったのに比べ、政府消費は若干のマイナス、資本形成も−4%など、通年での成長継続は難しいとする見方もある。 |
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