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韓国駐在員報告
2010年6月 政治 駐在員 : 掛沢 孝寿
5月24日、李明博大統領は、哨戒艦の沈没と関連して国民に向けた談話を発表し、北朝鮮に対して「断固たる措置」を取ると表明した。
李明博大統領は「哨戒艦の沈没は北朝鮮による軍事的挑発だ」と規定した上で、北朝鮮はこれまで、マレーシアのラングーンでの爆弾テロや大韓航空機爆破など、これまでにも武力挑発を行ってきたと指摘し、その上で、南北海運合意書に基づいて北朝鮮の船舶に開放されていた韓国側の海上交通路を閉鎖し、南北間の貿易と交流も中断するとした。
さらに、韓国海軍の哨戒艦を攻撃したのは、国連憲章に違反するだけでなく、休戦協定や南北基本合意書など、朝鮮半島の平和と安定のための合意に反することだとして、関係国と緊密に連携してこの事件を国連安全保障理事会に回付するとしている。
李大統領は、北朝鮮に対する今回の措置は軍事的な対決が目的ではなく、朝鮮半島の平和と安定、南北の共同繁栄こそ究極的な目的だと指摘したものの、今後、北朝鮮が韓国の領海、領空、領土を侵犯すれば、即時に自衛権を発動するとも述べており、2000年6月の南北首脳会談以降、北朝鮮に対して進められてきた「包容政策(太陽政策)」の枠組みを完全に変えるものとなった。
一方の北朝鮮は、同日、哨戒艦沈没に関連して韓国が打ち出した措置は宣戦布告に等しいとして、李明博大統領の任期中は南北当局間の対話と接触を一切行わない等の行動措置を発表しており、朝鮮半島をめぐる状況は緊迫度を高めている。
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