東南アジア駐在員報告
1999年4月 社会・時事 駐在員 : 篠原 清志
・マレーシア・シンガポール、脳炎パニック
昨年10月ごろよりマレー半島中・北部で発生していた脳炎がここにきて猛威をふるっており、隣国シンガポールでも大問題となってきた。
マレーシアでは、過去にも時々日本脳炎の発生が見られたが、今回の流行ではすでに死者が100 人を超え、依然収束に向かう状況にないため、政府は、日本脳炎の病原菌のすみかとなる豚を全国で85万頭殺している。
一方、マレーシアから豚肉の8割を輸入しているシンガポールでも、この問題が連日大きく報道され、3月22日には、一旦政府が輸入豚肉の安全宣言をしたが、当日、豚肉解体業者が脳炎で死亡する事態になり、他にも7人入院していることがわかって、急きょマレーシアからの輸入を禁止するなどパニック的な状況となった。
当初原因は、通常の日本脳炎と考えられていたが、その後脳炎を起こす「ヘンドラ」ウィルスに類似したウィルスによるものと変更されている。ヘンドラウィルスは、94年にオーストラリアで、人と馬を脳炎死させ、その存在が確認されたウィルスだが実態はまだ判っていない。
今回これに類似したウィルスが、馬以外の豚からも感染しているため、犬も猫も危ないとされたり、競馬も中止となったり、カツ丼の肉が鶏肉となっているが、本当に鳥は大丈夫か、なども話題となっている。
未知のウィルス、抗生物質も効かなくなった強靭なウィルスへの不安が高まっている中、マレーシアでは、今回の事態は、海外からウィルス攻撃を受けた結果などというヒステリックな反応まで出ている。
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