東南アジア駐在員報告
2016年8月 経済 駐在員 : 吉住理恵子
7月14日から7月18日にかけ、袋井市の農業関係者等がタイ(バンコク)、マレーシア(クアラルンプール)を訪問し、クラウンメロンをはじめとする特産品PRや商談会を行った。
マスクメロンの高級ブランドとして知られるクラウンメロンは、銀座の老舗パーラーの『季節素材のこだわりパフェ』にも使用されるなど、依然高い人気を博しているものの、国内市場は頭打ちとなっている。
こうした中、袋井市や静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所は、輸出促進に向けた国際的な認証GLOBAL G.A.P. (GAP:Good Agricultural Practice:農産物生産における安全管理を向上させることで円滑な農産物取引環境の構築、農産物事故の低減を図る農場保証スキーム)の取得等を経て、昨年11月からタイ、今年に入ってマレーシアへのクラウンメロンの輸出に取り組んでおり、両国合わせてこれまで150ケースを出荷しているという。
今回、バンコクでは市内最大規模の高級商業施設「サイアム・パラゴン」で母の日(王妃誕生日、8月12日)に向けたプロモーションイベントを実施。袋井市長による王室関係者(ソムサワリー王妃代理)へのクラウンメロンの献上セレモニーや、バイヤー向けセミナーなどが賑々しく実施された。クアラルンプールでは、市内の複数の高級食品店で行われているプロモーションの様子や、輸入事業者の本店や倉庫などの現場を訪問。世界中の様々なフルーツを取り扱う輸入事業者も、市長自らの訪問を大変名誉に感じたようで、信頼関係の構築に役立っていたように見えた。
タイでは1玉2,500バーツ(約7,750円 1THB=3.1円)、マレーシアでは約200リンギット(約5,200円 1MYR=26.0円)と、現地のメロンと比べて20倍以上の価格で販売されている高額商品であるだけに、価値についての丁寧な説明が必要だが、贈答文化がある東南アジアで、中華系富裕層等を中心に一定のニーズがあると、関係者は手応えを感じた様子だ。
今回は、生産者(出荷団体)、日本側輸出業者、行政(袋井市)と支援機関であるJETRO浜松事務所というチーム編成で、地方創生交付金を活用し、クラウンメロンという訴求力の高いブランド商品を軸とした海外販路開拓事業の一環として実施され、生産者の想い、日本側輸出業者と現地輸入事業者の機動力、行政の信用力、支援機関の実務サポートが一体となり、効果的なトップセールスが実現した。東南アジアでクラウンメロンがドリアンに代わる「果物の王様」として知れ渡るようになることを期待したい。
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