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中国駐在員報告

2014年3月 社会・時事
駐在員 : 井口 真彦


2月末の夕方、雨の杭州で、浙江省の政府部門担当者との協議を終え、チケット購入済の高速鉄道に乗るため、タクシーに乗った。杭州では、午後3時から5時くらいまでの間はタクシーが捕まえにくい。まして雨なので、路線バスの利用も考えていたが、幸いなことに、最近増え始めた電気自動車のタクシーがすぐに捕まった。
 幸運に感謝しつつ行き先を告げると、運転手はすぐに「日本人か?」と聞いてきた。黒いコートにバッグという私の身なりのせいか、言葉のせいかは不明である。話し好きな運転手で、杭州や上海の街の様子や住居、彼の故郷である黄山や子供の話など当たり障りのない話が一通り済むと、「釣魚島(尖閣諸島)のことで中日間は緊張しているね。」と始まった。
 日本人駐在員として、上海で仕事をし、暮らしている中で、中国人と尖閣諸島を含む日中の政治問題について話したり、議論を吹きかけられたりすることはほとんどない。交友範囲内では親日、知日の中国人がほとんどであり、相当のバイアスがかかっているのに加え、上海人は政治よりも実利、ビジネスを重視するということがあるのかもしれない。
 中国のテレビ、ラジオでは毎日のように日本、安倍総理の批判報道がされている。路線バス内のテレビでそのような報道が始まり、手元のスマホの日本語表示を隠したこともあった。日本に行ったことがなく、日本人の友人、知人もいない一般の中国人が、日本に対して偏った見方をするのは無理からぬことである。
 強面の運転手に対して、少し身構えつつ「良くないね。でも私は日中友好のために仕事してるんだよ。」と言うと、彼は意外にも「中国にとっても日本にとっても、戦争になったら困るのは一般庶民なんだ。絶対に戦争になってはいけない。」と力を込めた。
 「戦争」という言葉がサラッと出てくるのは、長く平和が続く島国日本と違い、常に内外ともに緊張にさらされている中国人の普通の感覚なのだろう。しかし、普段、批判的な報道に影響されがちであろう一般の中国人が、日本と戦争をしてはいけないと、熱っぽく語ってくれたのは、少し感動的でもあった。
 杭州駅で降りる際、「今日は話ができて楽しかった」と差し出した手に、若い運転手は慌てて手を差し出し返してくれた。政治の状況に関わらず、地域、個人同士の触れ合い、相互理解の重要さを再認識した瞬間だった。


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