韓国駐在員報告
2017年3月 経済 駐在員 : 松村昭宏
近年、世界的に海運市況が低迷し、造船需要が落ち込む中でも韓国の造船所は手持ち工事量で世界1〜3位を独占している。だが近年、深刻な受注難により手持ち工事量は急速に減っており、さらに自国の海運会社から受注する中国・日本勢の激しい追い上げを受け、その地位は風前の灯である。
造船・海運市況を分析する英クラークソンは2017年2月、1月末現在の造船所別の手持ち工事量は大宇造船海洋の玉浦造船所が638万4千CGT(CGT=標準貨物船換算トン数、91隻)で、世界の造船所のうち最も多かったと伝えた。2位はサムスン重工業の巨済造船所(372万千CGT、70隻)、3位は現代重工業の蔚山造船所(334万2千CGT、69隻)となり、2016年12月に続き、韓国の大手造船所がトップ3をキープした。ちなみに4位と6位は中国、5位は日本の造船所がランクインした。
しかし韓国の造船業界の関係者によると、韓国造船大手が手持ち工事量でトップを占めているのは過去2〜3年の間に受注した仕事を多く抱えているからであり、残っている仕事で持ちこたえられるのはおよそ1年余りだとした上で「決して安心できる状況にはない」と危機感を示している。実際、クラークソンが集計した2017年1月末現在の造船グループ別の手持ち工事量は、大宇造船海洋が1位、次いで日本の今治造船、現代重工業グループ、サムスン重工業の順であり、韓国の牙城の一角を日本が突き崩す構図となっている。
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