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台湾駐在員報告
2014年2月 社会・時事 駐在員 : 宮崎悌三
その年の世相を代表する漢字というものが、台湾にもある。日本の2013年を表す漢字は「輪」となったが、台湾は「假(偽物)」が2位以下を大きく引き離して、“ダントツ”で選ばれた。
台湾現地四大紙の一紙(聯合報)と大手企業一社(遠東グループ)が共催で実施するその年の世相を代表する漢字を選ぶ活動は、今年で6年目を迎える。有識者によって予め選ばれた57字の漢字の中から、一般から選んでもらうという手順で、得票数が最も多い漢字がその年の漢字となる。
過去に選ばれた漢字は、乱(2008年)、盼(2009年。望むの意)、淡(2010年)、讃(2011年)、憂(2012年)であるが、その年を台湾の方々がどのように感じていたのかがうかがえる。
2013年の2位以下は、黒、毒、乱、謊(うそ)、悶(息苦しさ)、混、真、醒、安、食(安と食は同票で10位)といった具合だが、何か日本にも通じるものがあるように感じる。10位以内の11字の漢字のうち、「食の安全」に関するものは、9字含まれている。
一方、インターネット検索大手の米グーグル社は、2013年において、検索数が急激に増えたブランドトップ10を発表している。
台湾携帯大手のHTC(1位)と、インターネット販売サイトを運営する企業、及び台湾最大手の通信業者を除き、トップ10の残り7つを偽装表示が発覚した食品関連企業が占める結果となった。
天然酵母使用、添加物不使用をうたいながら、実際には、合成香料を使用していた有名パンチェーン店、粗悪な油や人工着色料を加えたゴマ油や綿実油などを仕入れて販売していた大手食品会社、無水マレイン酸(歯応えを良くする)を添加したでんぷん粉などの使用など、毎月のように食品の偽造に関するニュースがテレビや新聞を賑わせ、2013年の台湾は、食品の安全性に揺らいだ一年だった。
主催者の聯合報は、「最初に候補として選んだ57字の漢字のうち、半分以上が、負のイメージを与える漢字。「假」が選ばれたのは残念であるが、民衆の不安を表している。10位以内の漢字のうち、7つは負のイメージを与えるが、10位から8位までの4字を反対に読む*と、假に対する対処の方向性が見えてくる」とコメントした。
*「食安醒真」:食の安全に真に目覚めるの意。
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