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東南アジア駐在員報告
1999年9月 政治 駐在員 : 篠原 清志
シンガポール、誰も大統領になりたがらない
第2回目の大統領選挙は、誰もなり手がいない中、リー・クァン・ユー上級相の説得もあって、元駐米大使のS.R.ナタン氏(75)が、無投票で就任することになった。
今回の選挙については、現職のオン大統領が、自身及び夫人の健康上の理由等から早々と再出馬しないことを表明(夫人は7月末にガンのため死亡)。 与党人民行動党内で後継候補の選出が進められていたが、オン大統領も退任表明で、公選大統領でありながら憲法上も権限がほとんど無く、認められた権限である財政支出上の拒否権についても、大統領府にはスタッフも少なく、行政府の役人も非協力的であったと、この国では異例の発言を行った。
候補者としては、リー上級相をはじめ現職閣僚の名前も挙がっていたが、まったくの名誉職には誰もつきたがらず、全国労働組合会議(NTUC)の役員や、防衛、外交関連の政府機関の幹部を経て、現在は防衛戦略研究所所長でインド系のナタン氏が引っ張り出された。
無投票の結果、ナタン氏が9月1日、2代目の民選大統領に就任した。
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