東南アジア駐在員報告
2015年2月 経済 駐在員 : 吉住理恵子
2015年1月18日から1月22日にかけて、日本アセアンセンター主催のカンボジア投資環境視察ミッションに参加し、現地の投資環境を調査した。
繊維等の軽工業を中心に、「チャイナプラスワン」「タイプラスワン」として、メコン流域への進出検討が増加している。人口は少ないカンボジアだが、中国と隣接している地政学的リスクがなく、多くの国が援助や投資しており、インフラ整備のスピードが早い。話題のミャンマーを見たものの、まだ進出時期ではないと感じた人にとって、カンボジアはすぐ進出できるだけのインフラがすでに整備されていることが進出先として相対的に魅力的に映っているという。
特に印象深かったのは、プノンペン空港から20分ほどの「プノンペン経済特区」にあるDENSOだ。DENSOは子会社の工場内の一部を借り、タイ工場の一部工程をカンボジアで試験的に製作。一定の目処がつき、自社工場を立ち上げるための用地100,000uを確保したところである。
カンボジア工場は、タイ工場をマザーとする分社の位置づけで、@輸送効率がよく、A労務比率が高く、Bタイに知見があり、C一定期間需要が続く成熟商品(二輪車部品)の生産工程を、タイから移管した生産設備、タイ人スタッフでオペレーションしている。
同社では、タイの人件費が2020年には日本の1/2程度まで上昇すると見込み、労働力、工場面積などの生産資源の課題が深刻化する前に、カンボジアを活用することを決定した。ID偽造による年齢詐称による不法就労があったくらいで大きな労務問題はなく、カンボジアの人は性格的にバンコクの人よりずっと素直で穏やかで離職率も2%程度であるという。
プノンペン=バンコク間は東京と大阪くらいの距離で、メコンの南部経済回廊を活用した連係が十分可能だ。プノンペン=プレシハヌーク間をバスで走った国道4号線は、路肩がまだ未舗装で片側1車線ではあるが、車道は全て舗装されており、ミャンマーよりも路面状況はよいと感じた。
これまでは、日本の事業所がマザー工場の位置づけであったが、いよいよタイの工場をマザー工場として、アセアン内での製造業連携が始まっていることを改めて実感するとともに、「東南アジアの活力を日本(静岡)の本社に還流する」ための経済政策が、もう待ったなしだと切実に感じた。
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