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中国駐在員報告

2012年10月 社会・時事
駐在員 : 野村芳一


 先月中国では、尖閣国有化に対する反日デモが各地で行われ、暴徒化したデモ隊の一部が、日本車や日本食レストラン、日系スーパーなどを襲撃、店舗、工場の設備を破壊し、陳列された商品など略奪した。最近は政府の抑え込み策が功を奏して沈静化しているが、襲撃の様子は日本のメディアや中国国内のミニブログで広く知られることになった。
 中国では情報が統制されており、政府に都合の悪い情報は常にチェックされる。中国国内の重大なニュースを日本のメディアを通じて初めて知ることもある。一般の中国人も国内で実際に何が起きているのか知らないことも多いようだ。上海では日本のテレビ放送を見ていて日中の微妙な問題になると、突然画面が真っ暗になり放送が遮断されることもしばしばだ。日本と報道の自由度の状況が全く異なっている。逆に中国のメディアから得られる情報は、真実を知るより政府が何を考えているかを知る手段と考えた方がよいと思う。
 さて、今回の反日デモであるが、上海で起きたのは、一昨年の尖閣沖での漁船の衝突事件の時と比べると相当大規模なものだった。ただ、自宅の窓から眺めた限りでは、危険な様子はほとんどなかった。後から報道された情報によると、9月18日の上海のデモは、1万人が参加したと言われているが、完全に管理されたものだった。また、2005年の反日デモの時に比べるとずっと小規模だったようだ。当時は、日本人の住んでいるマンションなどにまでデモ隊が押し寄せてきたという。
 しかし、同時に上海市内で日本人を狙った暴力やタクシーの乗車拒否などの嫌がらせがあったという事実は、正直ショックであった。私自身そのような体験はしなかったが、私の家族は、この頃街で日本人かどうかジロジロみられるような嫌な雰囲気は感じたという。上海に長く住んでいる日本人の話では、昔はよくあったということだが、まさか今の上海でそのようなことが起きるとは思ってもみなかった。
 上海は常住している日本人が5万人、出張者も含めると常時10万人近くの日本人がいると言われる都市である。これだけ多くの日本人が住んでいると周囲の中国人とのいざこざも毎日起きていることだろう。
 しかし、今回私が耳にした嫌がらせについては、事件が起きた状況が詳細にはわからない中で、何かその事実だけが独り歩きしているような気がする。特に反日デモの様子を放送する日本のメディアによって、中国はいつもどこでも危険な国だというイメージが定着することが大変心配である。少なくとも上海は、現状でも世界の他の大都市に比べて安全な都市であると断言できる。
 中国では「国を愛することから行われる蛮行に罪はない」という意味の愛国無罪という言葉があって、これがデモ中の犯罪行為を正当化していると言われるが、中国警察は、破壊行為や略奪を行った者の拘束や逮捕を始めているので、日本に対してなら何をやってもよいという風潮は静まっていくだろう。
 今回の日中関係の悪化で最も頭が痛いのは、やはり訪日観光客の激減である。中国国家旅游局は、ホームページで訪日旅行を予定している中国人及び訪日滞在中の中国人への安全注意喚起を行った。中国各地旅游局の中には、地元の旅行社に対して訪日商品の販売自粛要請などを行っているところもある。
 こうしたことも影響してか、当事務所で上海、武漢、杭州の旅行会社から訪日ツアーについてヒアリングをした結果によると、10月初めの国慶節の連休以後については、訪日商品は全く扱わないというところがほとんどであった。個人旅行さえ扱わないといった旅行社もあった。日本での反日デモの報道からすると、日本からの観光客も望めない状況である。当面日中両国の観光分野は、これまでなかったような打撃を受けるものと思われる。
 8月の武漢・上海―静岡線は、大変に好調で、搭乗率も80%に迫るものであった。夏休み期間は、通常でも利用者が多い時期なのだが、この好調さを秋・冬のシーズンまで持続できれば、週4便運航からデイリー運航の実現への可能性も高まっていただけに大変に残念である。
 訪日旅行については、一昨年以来、好調になったかと思うと問題が発生し、元にもどってしまう、その後、また好調になったかと思うと、問題が起きて振り出しに戻ってしまうというようなことが、何回か続いていて、これが中国のリスクなのかと改めて考えてしまう。
 いずれにしても中国側にも新たに訪日旅行の市場を開拓しよう考えている業者もいるので、この人たちと連携を取りながら、状況が好転した時点ですぐに対応ができるように準備していきたい。


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