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東南アジア駐在員報告
2002年9月 その他 駐在員 : 岩城 徹雄
複数の会員で貸し自動車を共同利用する新しい地域交通システムが、シンガポールにおいて商業ベースで始まってから約半年が経過した。シンガポール政府とホンダの協力で研究、実験が進められてきたが、2002年3月1日に同社の現地法人が実施主体となりシンガポール企業も参画し、実際の稼動が始められた。このシステムはICVS(Intelligent Community Vehicle System)と呼ばれ、固定費の低減、資源の有効活用、環境への配慮などのメリットや、使いたいときに所定の料金を払い自由に使える便利さから徐々に広がりつつある。以下、システムの概要等を報告する。
1 概要
・シンガポール中心部のビジネス地区に3か所のポート(専用駐車場)を設置
・シビック・ハイブリッド車15台をポートに配置
・会員はポートにて自動車を借り、使用後ポートに返却(別のポートへの返却も可能)。使用中はシンガポール国内ならどこへでも移動、駐車が可能。
・ウィークデーは予約不要
・ガソリン代、保険料は不要
2 利用形態と料金
・年会費S$300、入会時預託金S$100は返却可
・利用料金
時間帯 利用形態の例 主な料金
昼間利用 平日8:30〜
19:30
金、祝前日
〜18:00 取引先を回り商談。工場での会議に出席など。 最初の20分S$3.90
以降1分毎にS$0.3〜0.5
夜間利用 平日19:00〜7:30 勤務後から翌日の出勤までの通勤など。 S$35
週末利用 金曜19:00〜
月曜 7:30 週末の行楽と月曜の出勤 S$100/日
注1;S$1(シンガポールドル)は約67円(02年8月末)
3 特徴
・自動車のキーの代わりに専用ICカードで貸出し手続き
・需要に応じた配車プログラムにより、ポートに貸出し車両がなくならないように配車
・インターネット等での利用状況確認
・先進のハイブリッド車利用
4 現状と今後の展開
運営を行っている現地法人の担当者の方に、最近の利用状況や今後の展開などについて話を伺った。
・会員数は当初50名でスタート、8月末で約60名になっている。
・「資源の有効活用」というICVSの主旨から、会員の昼間利用を尊重したいため、現在は昼間利用をねらった会員の増加を図っている。
・自動車にかかる費用のうち、使っていない時間帯の固定費を変動費に変えることで、地域全体での移動にかかる費用を減らしていけると考えられる。9月以降、自動車の台数を増やす、ポート数をビジネス地区内で合計6か所に拡充する(年末まで)など、サービス内容の充実に努め、利用の拡大に努めたい。
5 参考
・ このシステムはシンガポールの運転免許を取得すれば、外国人でも利用可能。