韓国駐在員報告
2019年12月 政治 駐在員 : 小関 克也
日韓関係に暗雲が立ち込める中、関係改善を願う経済界により11月12日に韓国貿易協会による「韓日未来パートナーシップ討論会」、18日には、韓日経済協会による「韓日専門家による韓日関係経済セミナー」が立て続けに開催された。
両セミナー共に、日韓の研究者が基調講演を行い、パネルディスカッションを行うものであったが、最近の対応について「双方(両国)ともに失敗であった。」といったような余り報道されない意見も聞かれ、日韓多くの聴講者が耳を傾けた。日本側の立場として感じたことは、韓国側が研究者の立場の人であっても未だに輸出の「規制強化」という言葉にこだわっている点である。あくまで「輸出管理の適正化」であり、実際に手続が適正であれば輸出も許可されているのであるが、韓国側はどうしても「恣意的に運用されて輸出を止められるのではないか」という疑いを捨てきれないようである。
現地報道では、件の輸出3品目が大きく関わるサムスン電子、SKハイニックス、サムスンディスプレー、LGディスプレーの4社は、日本が7月にフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材、フォトレジスト)の3品目の輸出規制を強化した後も生産に支障が生じなかったと先ごろ政府に伝えたとしている。4社のうち日本の輸出規制により当初計画していた生産量を達成できなかった企業はなく、多角的な対応により7〜9月期と10〜12月期の業績で、日本の輸出規制によるマイナス要因も全くないとのこと。いわゆる輸出3品目の影響は殆どなく、不買運動によるとばっちり的な被害ばかりが目につく状況が続いている。
前述の18日のセミナーでは、GSOMIAの破棄を韓国側が撤回することにかなり悲観的な意見が多かったが、幸いにも条件付きで継続することになり、日本企業駐在員の間でも安堵の声が広がっている。関係改善を求める経済界の方たちと引き続き連携し、少しでも早く元の状態に近づくよう努力をしていきたい。
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