韓国駐在員報告
2008年11月 経済
駐在員 : 掛澤孝寿
減少する韓国人訪日者、増加する日本人訪韓者
韓国からの訪日客数は、1月から8月にかけて対前年度比で3.4%の増加となったが、アメリカの金融不安に端を発した世界的な景気低迷とその長期化が憂慮される現況では、昨年並みの260万人の訪日客数を維持できるかが今後の課題となってきている。
事実、燃油サーチャージの高騰や物価の上昇、急激なウォン安などの影響により、韓国からの訪日客数は対前年同月比で7月は6.3%の減少、8月も8.6%の減少と2ヶ月連続での減少となっている。韓国の旅行会社にとって最大の書き入れ時である8月としては2004年以来4年ぶりの減少となっている。
ある旅行会社の幹部からは「1円11ウォン台なら苦しいがなんとかやっていける。12ウォン台では値上げ等の対策を講じなければやっていけない」との声も聞かれた。(10月20日現在1,270ウォン程度)
このような中、韓国の旅行業界では、中小旅行会社の中には利益幅が薄い海外パッケージを取りやめるところも出てきたほか、組織再編も行われ、各社とも経営への打撃を和らげようと懸命な努力をしている。
海外への送客実績第1位のハナツアーの8月の売上高は178億ウォンと昨年同月比23%の減少、営業利益、純利益も各60%以上減少したことから、海外事業本部の人員50人を代理店営業本部に移行したほか、南太平洋事業部と米州事業部を統合する組織改革を行った。
また、業界2位のモドゥツアーは第2四半期(4〜6月)の営業利益と純利益はそれぞれ10億ウォン以上減少したことから無給休職制度の導入を決定している。
このほか、大手の中で上半期(1〜6月)の業績が唯一赤字となったロッテ観光も人員再配置などを行っている。
一方、急激な円高・ウォン安が進む中、日本から韓国への訪問者数が増加の兆しを見せている。
例えば、釜山出入国管理事務所によると、9月に釜山港を経由して韓国を訪れた日本人観光客は34,912人で昨年同月比11.9%増加した。
博多港から釜山港間を運航する高速船「ビートル」を運営するJR九州高速船では日本人旅行客の増加を見込み、現在、日本の旅行会社と韓国への買い物ツアー商品の開発を進めている。
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