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中国駐在員報告

2015年3月 社会・時事
駐在員 : 井口真彦


 中国は2月19日、旧暦の正月にあたる「春節」を迎えた。

 私が初めて中国内で春節を迎えたのは、3年前、2012年1月だった。以前、北京に赴任していた時は、家族を帯同しており、他の多くの日本人家族同様、春節の連休期間は海外旅行に出かけていた。

 今回は単身で赴任しているため、その年に上海の自宅で初めて春節を迎えたのだが、一番驚いたのが花火と爆竹である。花火と爆竹で盛大に新年を祝うのが、中国の伝統的な習わしであることは、早くから知識としては知っていたが、初めて体験するその状況は想像を遥かに超えていた。

 当時、上海市南部一帯が見渡せるマンションの高層階に住んでいたのだが、特に、大晦日から年明けまでの数時間、そして財神が降りてくるという春節4日目の夜は、見渡す限り大小の花火が広がり、爆竹の音は耳をつんざくばかり。寒さも忘れてベランダでしばしその光景を呆然と見たものである。

 しかし、今年の春節は様変わりしていた。
 私が本欄で初めてPM2.5を取り上げたのが2012年3月。当時、日本ではこの言葉は一般的には知られていなかったが、中国ではメディア上に頻繁に表れるようになっていた。つまり、私が初めての春節に驚いた頃から、大気汚染の深刻さが大きな社会問題としてクローズアップされてきたのである。そしてこれが、伝統行事に影を落としている。

 大晦日の夜は、友人宅に集まっていた。11時頃から花火や爆竹をひやかしながら楽しもうと夜の街に繰り出したのだが、例年はあちこちの空き地や路上などで見られるのに、今年は明らかに少なく、静かなのである。

 友人は「まだまだ、これからだ」などと言い続けていたが、結局、いくつかの花火や爆竹は見たが、これまでの半分以下という感じであった。

 上海の新聞が事前に行ったアンケートでは、約6割の人が、大気汚染などを理由に「爆竹はやめるべき」と答えている。市民の意識が変わり始めている。

 上海市政府も、今年の春節は、爆竹の禁止区域を拡大し、違反者には罰金を科すとした。後から聞いた話では、上海市内でも、爆竹や花火が禁止されていないエリアでは、例年通り、盛大に新年を祝う光景が見られたそうである。

 毎朝、スマートフォンのアプリケーションでPM2.5の数値を確認し、汚染が深刻な日にはマスクをして出勤する身としては、この市民の意識の変化は歓迎すべきであり、政府による規制も受け入れるべきなのだが、あの壮絶とも言うべき光景は忘れられない。

 大気汚染の原因だとわかってはいても、なんとなく残念なような複雑な気持ちなのである。


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