台湾駐在員報告
2015年10月 経済 駐在員 : 内藤晴仁
台湾では日本の食文化が幅広く受け入れられており、中でも日本酒の人気は高い。JETROが公表した2014年の日本酒の地域別輸出統計によれば、台湾への日本酒輸出量は米国、韓国に次いで第3位であり、台湾が日本酒の主要な消費地域となっていることが分かる。事実、居酒屋では日本酒を飲む台湾人を多く見かけるほか、近年では、日本の技術を導入した「台湾産の日本酒」が販売され人気商品となっている。
一方、台湾人は、日本のように自宅での食事とともに晩酌をする人は少ないと言われている。JETROが行ったアンケート調査結果では、台湾人が日本酒を飲む場所の1位(約8割)は居酒屋・日本料理店であり、自宅で飲むと回答した方はわずかであった。
また、日本酒は輸入時に高い関税がかかるため、現地産ビール等との価格差が数十倍近くになることもあり、日本酒=高級酒というイメージが持たれている。上述のJETROアンケートでも、日本酒購入の用途として、「贈答用・御土産用」と回答した方が約3割もいたほか、味や香りのほかブランド名を重視する方の割合も高かった。
こうした調査結果を反映してか、ある日本料理店では「晩酌セット」を販売、日本酒と日本料理を組み合わせた日本流の飲み方を台湾人客に提案している。また、縁起のいい名称が付いた日本酒は贈答用・土産用として人気が高いため、台湾バイヤーも日本酒取引の際、日本酒の味や香りだけでなく、名称についても重きを置く傾向にある。
9月下旬に台北市内で「Sakeism日本酒主義」という台湾最大級の日本酒の見本市が開催、県内2つの銘柄を含む80近い日本酒銘柄が出展された。「Sakeism日本酒主義」への入場は有料にもかかわらず多くの台湾人が来場し、台湾人の日本酒への関心度の高さが伺えた。
台湾で日本酒の販路を拡大することは簡単ではないが、日本酒を愛する多くの台湾人の期待に応えるためにも、今後も静岡のおいしい日本酒を提供する販路の開拓に尽力していこうと思う。
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