東南アジア駐在員報告
2010年7月 政治
駐在員 ： 長谷川卓
６月30日、首都マニラで、ベニグノ・アキノ３世の大統領就任式が行われた。民主化運動の英雄、故ベニグノ・アキノ２世を父に、民主革命の旗印となった故コラソン・アキノ大統領を母にもつ同氏は、抜群の知名度と人気で、選挙戦中盤に危惧された具体的な政策が見えないとの批判を一蹴してしまう圧勝だっただけに、その政権運営が注目されている。
就任演説の中で、アロヨ前大統領時代の汚職の横行について、明らかにそれとわかる表現で批判した後、「良好な統治」を通じてフィリピンの持つ諸問題を軽減し、フィリピンを正しい方向に戻すと言明した。
経済面では、インフラ改善、観光・貿易プロジェクトの推進、農業振興などを表明するとともに、最重要課題の投資政策では、「目に見える形で、投資の障害を取り除く。」と述べた。
出稼ぎ労働が国の最大の稼ぎ頭になってしまった現在、国内雇用創出には外国企業誘致の促進が重要となるが、アセアン域内での生産拠点としての誘致競争に出遅れたこの国では、今後も相当の努力と時間が必要であり、新大統領の前途は多難だ。
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