韓国駐在員報告
2020年4月 政治 駐在員 : 小関 克也
4月15日、韓国では国会議員総選挙が行われる。韓国の国会は一院制で定数は300議席、任期は4年である。
定数300議席の内訳は地域別の小選挙区が253議席、残りの47議席は全国比例代表であり、有権者は小選挙区(個人)と比例代表(政党)にそれぞれ投票する。ここまではよくある選挙制度であるが、最近行われた選挙制度変更により、比例代表議席の一部が耳慣れない方法により配分されることになったので紹介する。
前述のとおり、比例代表は47議席であるが、実は単純比例代表17議席、「準連動型比例代表」30議席に分かれている。この耳慣れない準連動型比例代表なる制度は如何なるものなのか。
簡単に説明すると、「総議席数300を比例代表による得票率で政党別に按分」、「小選挙区での獲得議席がその按分数より少なければ準連動型比例代表の割り当て議席30から配分。多ければ配分しない。」という制度である。例えば、比例代表で20%の得票率を得たとすると、総議席300の20%は60議席となるが、定数253の小選挙区で60未満しか議席を獲得していなければ、準連動型比例代表の割り当て議席の幾らかが配分されることとなる。
小選挙区制度では、いわゆる死票が増え、政党支持率と実際の獲得議席数に大きな乖離が見られることがあるため、少しでも政党支持率に近づけることを狙いとした制度であるが、小選挙区で多くの議席の獲得が見込まれる政党はその配分が得られない可能性が高い。そこで、二大政党の「共に民主党」と「未来統合党」を始めとした主要政党は弟分のような政党を新たに設け、比例代表はそちらに投票をするように呼びかけている。小選挙区での獲得議席が0でも、比例代表でその新政党が一定の得票率を得れば、その率の議席を有利に獲得できるからだ。
38もの政党が比例代表に名乗りを上げたことから、投票所で受け取る比例代表用の投票用紙は総選挙史上、最も長い51.9センチになる見通しとのこと。新型コロナの影響で、お祭り騒ぎのような選挙運動がなく非常に静かな選挙戦となっているが、日韓関係にも大きな影響を与える結果を注視したい。
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