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ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 東南アジア駐在員報告

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東南アジア駐在員報告

2003年1月 その他
駐在員 : 岩城 徹雄


カンボジアの社会経済状況

    昨年12月中旬にカンボジアの首都プノンペンを訪れ、日系企業の話を聴く機会を得たので概要を報告する。
    世界遺産のアンコールワットで有名なこの国も、社会経済状況の情報はあまり発信されていない。この国は、人口が1,220万人(2000年)の立憲君主国で、2001年のGDPは推定32億米ドル、一人当たりでは257米ドルと、世界でも最も貧しいレベルである。主要産業は衣料や靴の製造で、大小200社ほどの企業で製造される衣料などが主な輸出品目にもなっている。
    政府は、民間部門の充実により経済発展を目指す方針をとり、94年に投資法を整備し外国からの投資を誘致している。法人税は9%と低くし、投資プロジェクトによっては最長8年までの法人税免除、損失は5年間繰越可能、製品の80%以上を輸出する企業や特別奨励地域に立地する企業が行う原料や部品などの輸入には関税免除などの優遇措置を設けている。カンボジアへの投資が多いのは、マレーシア、台湾、シンガポール、中国、香港である。日系企業は38社、うち製造業は2、3社で、ほかは商社などである。在留邦人は約600人ほどで、大半は国際協力事業団あるいはODAの関係者である。
    しかし、実態としては、外国からの投資が進んでいるとはいえない状況のようである。投資法の他、税法、労働法はあるが、会社法はまだなく、民法、刑法も日本の支援で作成途上と制度的に遅れているほか、電力供給などのインフラも不十分で、必ずしも良好な投資環境とはいえないようである。外国企業の投資の窓口となる投資委員会では法人設立などの諸手続きをワンストップでできるような体制をうたってはいるが、現実には各省庁を個別に回らなければならず、また、民間企業は昼休みが2時間で土曜日も営業するのに対し、公務員は昼休みが3時間で完全週休2日など、行政機関の効率にも遅れが目立つと、耳の痛い話もあった。
    労働者の質はまじめで勤勉のようであるが、地位が高くなるにつれ、いい職を求めて転職する人が多く、優秀な人材を長期に雇うには高い給与を払わなければならないようである。
    首都プノンペンは人口100万人の都市であるが、高層ビルはなく、主要な通りは舗装されているものの脇道などは未舗装である。しかし、これでも、昨年11月のASEAN首脳会議のホストを務めた折に改善されたようである。
    町の中を走る自動車も二輪車も、中古車が多い。自動車は右側通行であるので、アメリカから輸入される左ハンドルのトヨタ製中古車が人気のようである。二輪車も、新車市場は2万台だが、その5、6倍が日本、韓国から輸入された中古車であるという。二輪の新車は1,000〜1,100米ドル、中国製の二輪車は500〜600米ドルと約半分であるが、中国製に対してはいい印象がないためか、高くても品質のいい日系メーカーの製品の方が売れているという。ただし、プノンペン市内でも大卒の給与が月150米ドル程度、縫製工場のワーカーが45〜50米ドル程度という給与水準では、購買力もあまり上がらない。ローンの制度がなく現金決済が必要という事情もあり、二輪車の市場も一家に一台あるかないかという普及度から、あまり広がることは期待できないようである。
    通り沿いにはパンや果物など食品を売る屋台なども並び、見た目には物も豊かにあるようだが、観光地でよく見られる物乞いの姿がプノンペン市内のレストラン入口などでも見受けられ、地方へ行けば生活は苦しいものと推察される。経済の自立にはまだ時間がかかり、各国からの様々な形態の支援が必要なことが感じられた。


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