中国駐在員報告
2017年3月 社会・時事 駐在員 : 石井亘
2月16日、中国郵政局は「宅配業発展13次5か年計画」を公表した。それによると、2020年までに宅配業界の年間営業収入8,000億元(約13兆6,000億円)を目指すとしている。また、年間取引数が1億件以上、あるいは年間営業収入が1,000億元(1兆7千億円)以上の巨大企業を3〜4社形成し、国際的競争力を備えた世界的な宅配ブランドを2つ以上育成する方針である。
インターネット商取引の急激な成長を背景に、中国の年間宅配取扱数は、2014年に100億件に到達した後も急成長を続け、2015年には2,000億件を突破した。また、一日当たりの取扱量が1億6,000万件を超えるなど、中国経済牽引のダークホースとなっている。
成長が続く一方で、業界の人出不足も深刻化している。宅配員の多くが農村出身であり、春節(旧正月)連休後も旧暦1月15日の元宵(げんしょう)節(今年は新暦2月11日)まで故郷で過ごす習慣があることから、春節連休後、大都市を中心に商品の宅配が大幅に遅延していると報道されている。
新聞等の調査では、宅配員の月収は6,000〜7,000元(102,000〜119,000円)程度。基本給と歩合給で構成され、月2,500〜3,500元(42,500〜59,500円)の基本給に、1回の配達当たり1〜1.5元(17〜25.5円)及び1回の受取り当たり配達料金の5〜8%が加算される仕組みである。
この月収の水準は数年前から変化がない上、雇用主が人件費削減のために宅配員と正社員契約を結ばす、社会保険費を支払わないケースが多いなど、宅配業は過酷な職種として一般に認識されていて、今後の人手不足解消には課題が多いと思われる。
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