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東南アジア駐在員報告2004年4月 その他 シンガポール航空労使紛争 国際競争力維持への努力
シンガポール航空(SIA)パイロット組合(Alpa-S)は、昨年11月賃金削減パッケージの仲裁を受入れた組合幹部を罷免し、労使間の協定も昨年12月14日で失効するなど、混乱を招いたとして政府から批判を受けている。また、SIAのマレーシア人パイロット、ライアン・ゴー機長について、SIA労組幹部の追放を扇動したとして、リー上級相などから名指しされ、これを受けた内務省は同機長を「好ましくない移民」と判断し、移民・検問庁(ICA)が3月5日、永住権に必要な入国・再入国許可を取り消す意向を伝えていた。 同機長は、これを不服とし、出入国管理長官に許可取り消し撤回を求めていたが、長官は同20日、「撤回要求の根拠は妥当性を欠く」との理由で要求を退けていた。さらに、同機長は最終決定となる内相判断にゆだねるため、内相に不服を申し立てたが、決定を覆す新たな材料がないとし、申し立ては却下され、同機長は4月1日、出国を命じられるなど混乱が続いている。 リー上級相は「労使が一体となって溝を埋めるべきだ。双方がNWC勧告をめぐって合意に至らなかった場合は仲裁にゆだねればいい。首相や閣僚はNWC指針が国益に沿うものであるとの立場を示し、仲裁委員会の委員長もそれを考慮するだろう」と述べた。 また、「長期的にSIAが競争力を維持するためには変化が必要である」ことや、「航空業界を取り巻く状況が大きく変化しており、世界中の大手航空会社が地上の荷物取り扱い事業を外部委託している」ことを指摘し、今後、SIAが株式87%を持つ地上ハンドリング業務を行う子会社シンガポール・エアポート・ターミナル・サービシズ(SATS)を向こう半年から1年半の間に売却する方向で検討していることも明らかにした。チャンギ空港のハンドリング業務に関する競争は激化しており、これについては次項で触れる。 |
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