台湾駐在員報告
2019年12月 経済 駐在員 : 宮崎 悌三
中国政府が今年8月から台湾への個人旅行者に必要な通行証(注:中国と台湾の住民が往来する際、パスポートに代わって必要とされる書類)の発給を停止してから、中国人の訪台者数が目立って減少しており、特に10月の訪台者数は、対前年比で5割以上落ち込んだ。
台湾交通部(国土交通省に相当)は、中国からの個人旅行客減少による観光業への影響を緩和するため、秋冬期の観光奨励施策を9月から実施している。たとえば、1室1泊あたりの宿泊費を最大1,000台湾元(約3,600円)割引する宿泊補助金や、1室あたり200台湾元(約720円)の夜市向け優待券、温泉優待券の配布などで、いずれも台湾人の域内旅行の活性化を狙ったものだ。この制度を利用した旅行者は、11月末までに延べ357万人となり、ホテルの稼働率が上向くなどの効果が見られたことから、政府は、当初12月末まで予定していた利用期限を1月末まで延長することとした。
さらに、台北の桃園空港や松山空港以外の空港と海外を結ぶチャーター便への補助、中国以外からの旅行客の誘致等にもあわせて取り組み、期間中の日本・韓国・東南アジア等からの訪台客が増加した結果、年間訪台者数は昨年を上回ると見込まれる。中国からの旅行者数減少に対する政府の素早い対応が、功を奏している状況だ。
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