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ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 北米駐在員報告

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北米駐在員報告

2002年11月 政治
駐在員 : 松下 育蔵


アメリカは拉致問題をめぐる一連の日朝の交渉、日本政府の対応及び日本のメディア報道をどう見ているか(在米ジャーナリストからの情報)

1 米政府の関心の一つは、日本人女性と結婚した米国人
    米政府は、日本人拉致問題について、ほとんどコメントを出していない。ただ米の脱走兵と言われている人物が日本人女性と結婚していることから、国務省報道官が定例記者会見で一回だけ「わが国政府は脱走したと思われる元米兵が日本人拉致被害者と結婚し、北朝鮮で生活しているという点について日本政府から通報を受けており、今後も受けることになっている」とコメントしている。その後国防総省筋が『日本のある大手新聞』ワシントン特派員に「この人物を軍法会議にかけず、超法規的措置をとる可能性もある」と述べているが、米政府部内ではまだ最終決定はなされていないようだ。
2 米政府は、日本人の拉致問題について無関心なのはなぜか
    米政府が日本人の拉致問題についてあまりコメントを出していないのは、この問題が日本国政府と北朝鮮政府との2国間の問題であり、米政府としては公式にコメントする立場にはないためと言われている。ただ、米政府は北朝鮮がはっきりと拉致の事実を認め、しかも謝罪したことに驚いたことは確かである。北朝鮮が自ら「テロ国家である」と認めたことになるからだ。
     しかしながら、米政府は拉致問題のみを日朝国交正常化交渉の主要議題にすることには真っ向から反対していたし、小泉首相をはじめとして日本政府当局者にはこれまで何度となく強く要請してきた。つまり、北朝鮮問題を国際問題ととらえた時、核開発とミサイル問題、さらには通常兵器拡散の問題の方が、拉致問題よりも重要な問題であるとの認識をアメリカ政府が持っているためである。テロリスト国家への支援となる兵器拡散の問題等を外した日朝交渉には、はっきりと反対してきた。この点はブッシュ大統領から直接小泉首相に伝えられているという。
3 拉致問題について、米政府に近いあるいは北朝鮮問題について政府に影響力を持つ専門家たちの見解(在米ジャーナリストから得た非公式見解)
(1) ニコラス・エバースタッド(Nicholas Eberstadt)アメリカン・エンタープライズ・インステチュート主任研究員
    「金正日が拉致を認め謝罪したことは北朝鮮にとっては前代未聞なことをやってのけたということで、大変なブレークスルー(躍進)だ。とはいえ、北朝鮮が他の分野でもこれまでやらなかったことをどんどんやると見る人もいるが、私は懐疑的だ。というのは、拉致した日本人を一時帰国させた後、日本の世論がこれほどまで硬化し、それをメディアが全面支援、政府を突き上げる形になるというところまでは、北朝鮮は読んでいなかったからだ。このことは、金総書記にとっては完全な誤算だった。日本がこれほど高飛車に出てくるとは見ていなかったはずだ。
    ワシントンも元々日朝の急接近には心穏やかではなかった。既に米国との枠組み合意を破って核開発を続けている北朝鮮が資金欲しさに日本に近づき、日本政府の一部も日本外交の独自性を見せながら、国内的には未解決の拉致問題を一気に解決しようとした。米政府は日本政府から事前の通告を受けていたが、今、北朝鮮に甘い顔を見せるのはタイミングがよくないという判断がワシントンにはあった。なぜなら、米政府はもう半年後であれば、北朝鮮からより大きな譲歩が引き出せると考えていたからだ。しかしそれを面と向かって日本にも言えなかった。アメリカは当初から現段階で、北朝鮮とは話し合いだけで解決するのは難しいと考えていたため、小泉首相訪朝後の拉致をめぐる日朝の緊張はアメリカにとっては、ある程度予想していた話である。アメリカ政府が今心配していることは、拉致問題に日本政府が振り回されて日本の外交の基軸が失われ出している点である。」
(2) 米議会外交問題担当者(匿名希望)
    「日本政府が拉致被害者家族の意向を受けて一方的に一時帰国者の永住を決め、ピョンヤンに残っている子供や連れ添いを引き渡せと言い出したことに若干、日本政府の傲慢さを感じる。拉致された人も言っている通り、拉致されたとはいえ、すでに20数年北朝鮮という社会に生きてきたわけだし、生活の基盤がある。子供たちも北朝鮮の人間として育ってきたし、問題になっている横田めぐみさんの娘は朝鮮人との混血で、どちらに住むかは本人が決めることだ。例え、北朝鮮は独裁国家で言論の自由がないといっても、一部特権階級の人間にとってはそれでも北朝鮮がいい、日本はいやだ、という者がいても不思議ではない。それを日本がいいのだ、と一方的にいうのはやはり問題だ。
    アメリカでも1999年、キューバから母親と一緒にアメリカに亡命しようとして遭難、母親は溺れ死んだが少年は米沿岸警備隊に助けられ、その少年のキューバへの引渡しが問題となった。フロリダには死んだ母親の親戚がおり、キューバには少年の父親がいる。永久亡命か、キューバ送還かで米国論が二分した。結局少年は父親の元に帰ることで決着したが、その間大変な議論があった。今の日本を見ていると、北朝鮮送還とか、本人たちに決定を任せるべきだといった議論が日本人の中から全く出てこないのはなぜか。そうした観点からの声が押しつぶされているとしたら日本は極めて危険な状態にあるのではないかと思う。正常化交渉では案の定、北朝鮮は拉致問題ではへそを曲げてきたが、これで交渉断絶とはいかないだろう。いずれ北朝鮮の方から何か条件を出してくると思われるが、その際の日本の対応が注目される。」


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