東南アジア駐在員報告
2010年6月 政治
駐在員 ： 長谷川卓
５月14日、建国当初から経済政策を中心に国の礎づくりに尽力した元副首相ゴー・ケンスイ氏が、肺炎と老衰のため死去した。享年91歳。建国わずか40年余りの同国を現在のアジア一の経済国家に育てた、リー・クアンユー顧問相ら「第一世代」と呼ばれる政治家の一人だ。
同氏の政治家としての活動は、独立以前の自治政府下に始まり、通貨の発行、貨幣の安定供給、ソブリンファンド(政府系ファンド)設立、経済開発庁(EDB)設立による外国投資誘致などの財務、経済政策から、軍隊の設立、徴兵制度導入といった国防政策、さらには義務教育制度の整備、動物園及びバードパーク建設と多岐にわたった。
リー・シェンロン首相がテレビインタビューに涙ながらに答える様子が放映されるともに、同氏の功績をたたえる特別番組の放映、新聞の特刷版発行や数ページにわたる弔意広告の掲載など、同氏の存在の大きさが示されていた。５月23日、国葬が行われ、多くの国民が別れを惜しんだ。
建国直後の国家だからこそ、こうした特別な政治家が存在し得たのだろうが、尊敬できる政治家の存在が少しうらやましかったのは筆者だけか。
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