中国駐在員報告
2009年4月 経済
駐在員 : 若田部 孝
「徳川家康」の本が中国で人気
〜世界的な金融危機を「家康」の精神で乗り切る〜
- 数年前から中国では、徳川家康の生涯を描いた長編小説である「徳川家康」が人気を集めている。この本は、北京市、上海市などの主要都市の書店で販売されており、北京首都国際空港等の書店で見かけることもできる。
「この「徳川家康」の本は、全13巻の大作で、日本の山岡荘八氏の著書の中国版であり、中国国内で既に累計で約200万冊が印刷されている。」と浙江日報は伝えている。中国では、書籍はインターネット販売が中心であるが、書籍のベストセラーという考え方もあり、広東省の深セン市等では、この本がベスト10にランキングしたこともある。
今、どうしてこの本が人気を集めるのか、探ってみた。
人気の主な理由は次のとおりである。
@出版のタイミングが良かった。
- 2008年から世界経済が「冬」の時代に入り、国民が、どのように「冬」を乗り切ろうか考えはじめた。その際に徳川家康の「忍耐」が参考になる。
C中国では、これまで日本の歴史関係の文学作品が少なかった。
Dこの本を推薦する中国の著名人が多い。
中国の有名な歴史学者・作家の柏楊氏など。
なお、この本に対する専門家の反応は、「この本の影響力は、中国の「資治通鑑」、「三国演義」に比肩できる。」と賛辞を贈る歴史学者がいる一方で、中国人一般の読者の反応は、「この本を通して、日本の歴史や文化が理解できた。」、「登場人物があまりに多いので、内容が途中でわからなくなった。」、「ベストセラーになったのは不思議。これは偶然である。」などと、評価は、さまざまである。また、徳川家康の忍耐力が、現在の中国の経営哲学に相通じるものがあるらしく、「世界経済が不況の今、「徳川家康」を読もう。」と報道したテレビの経済番組もあったそうだ。
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