台湾駐在員報告
2016年7月 行政 駐在員 : 宮崎悌三
毎日の通勤は、健康のため、出来るだけ歩いている。朝の気温はすでに30度を超えているため、一汗ではなく二汗くらいかく頃に事務所に着くが、道行く人の群れに女性の姿が目立つ印象を持つ。これを、統計で見てみたい。
台湾政府の行政院(内閣に相当)の主計総処(日本の統計局に相当)等のまとめによると、2015年における台湾の女性の労働力率(15歳以上の人口に占める労働力人口(就業意思と能力を有する人口)の比率を指す。)は、25〜44歳の女性で80.3%と、初めて80%を超え、過去20年間で最高値を示した。また、全体では50.7%であり、日本の女性の労働力率の平均値(49.6%)よりわずかに高い数字であった。
一般的に、女性の労働力率は、10代後半の若年層と60代以上のシニア層で低く、青年層から壮年層にかけて高くなると言われている。
日本では、20代前半でピーク(79.3%)になった後、20代後半から30代前半にかけて、結婚や出産などのため低下(70〜71%)し、その後、再び上昇して40代後半にもう一度ピーク(76.8%)を示す「M字型」と言われる。
それに対し、台湾では、20代後半が最も高い(88.8%)が、その後は緩やかに下降し、45歳以降においては、逆に日本より率が落ち込む結果(69.6%)となっている。日本の「M字型」に対し、台湾は「への字型」を呈していると言って良いだろう。
台湾政府関係者は、45歳以上の女性の労働力率の落込みについて、「その年代の女性を受け入れる雇用環境が整っていないことを示すもの」と指摘し、受け入れ環境を改善することで、女性の労働力率の平均値を、2020年までに目標と定めた53%に達成したいとしている。
台湾初の女性総統が就任して間もないが、日本と同じように少子高齢化が急速に進む台湾(参考:2016年内には、65歳以上の高齢者人口が15歳未満の人口を超えるとの政府推計が、6月発表された)においても、女性が就労を継続する環境の整備が急務となっている。
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