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ヨーロッパ駐在員報告2003年2月 政治 ドイツ与党、州選挙で惨敗
ヘッセン州では、SPDが得票率を10.3ポイント下げて29.1%、議席数も13議席減少して33議席(総議席数110)としたのに対して、連邦政府内では野党に位置するが、同州では与党のキリスト教民主同盟(CDU)が今回は票を伸ばし、得票率48.8%、56議席とし、引き続き同党を軸にした政権が運営される見通しである。 一方、シュレーダー首相のお膝元であるニーダーザクセン州では、現与党であるSPDが得票率を14.5ポイント下げて33.4%、議席数も20議席減少して63議席(総議席数183)としたのに対して、CDUは得票率を12.4ポイント伸ばして48.3%、議席数も29増加の91議席として第一党となり、政権交代が行われる見通しである。 このニーダーザクセン州の政権交代により、州代表によって構成される連邦参議院(上院)における野党CDUの議席は69議席中41議席となり、SPDはCDUとの協力を求めていかざるをえなくなった。 今回の選挙はドイツ国内16州のうち2州の地方選挙であったが、シュレーダー政権2期目の最初の選挙としてその行方が注目されていた。特に、1%と予想されるEU最低の経済成長率、400万人を超えると言われる失業者数など、ドイツ経済を取り巻く厳しい環境の中、連邦レベルのSPDと緑の党連立政権の政策そのものが問われているとして注目を集めていた。 シュレーダー首相は3日の記者会見で、外交面での緊急の課題であるイラク問題については従来からの戦争反対に変わりはないとした上で、雇用改革や保険改革など内政面での改革実行に当たっては、野党陣営の協力を求めていく考えを強調し、SPD党首としての敗北を認めながらも辞任はありえないことを言明した。 2月3日付けの「The Wall Street Journal Europe」は、第一面でドイツの有権者はイラク問題よりも経済を重視と報じ、4日付けの「Financial Times」も第一面にシュレーダー首相の苦渋にゆがむ顔写真をカラーで載せ、社説でも今回の選挙結果を直視したシュレーダー政権の改革実行の必要性を強調した。 |
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