中国駐在員報告



2011年9月 社会・時事
駐在員 : 井口真彦


    上海や浙江省の地元の新聞には、できるだけ目を通すようにしている。
     こちらでは、日本のような各戸配布のシステムがないため、事務所で定期購読している新聞の他、タブロイド判の大衆紙を毎朝出勤前などに街頭の新聞スタンドで購入している。
     特に面白く感じるのが、記者の現場取材に基づく記事である。
     個々の店で豚骨を煮込んでスープ作っていることを売りにしていた某有名ラーメンチェーン店が濃縮還元スープを使用していた問題では、実際に店に行って注文して確認して批判する。
     病院窓口での待ち時間を10分以内にせよとの政府の通知が出ると、自ら多くの病院を回って待ち時間、診察時間などを調査して比較する。
     「記者(自分)が…」の一人称で始まる記事が非常に多いのである。
     もちろん、浙江省温州で起きた高速鉄道の悲惨な事故を始めとする多くの事件、事故現場にも記者は足を運んでいる。
     しかし、中国の新聞は全て政府の統制下にあるため、政府批判につながるような内容の記事は原則として掲載されない。
     現場主義を徹底すればするほど、書きたいけれど書けないというジレンマ、不満、矛盾を抱える新聞記者が必ずいるはずである。
     時にそのような事情も推測しながら読む漢字だらけの新聞は、実に興味深い。

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